筆者のプロフィール
まず、この記事を読んでいただくにあたって「誰が何を書いているのか?」も非常に重要な要素になると思いますので、簡単に私のプロフィールをまとめています。

【株式会社case 代表取締役/動画制作プロデューサー:加藤智史】
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など
約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社に
アカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、
動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。
2023年に株式会社caseを創業し代表を務める。
動画制作会社(予算数十万円〜数百万円)での営業兼プロデューサーとしての役割を中心に、広告代理店(予算数百万円〜数千万円)でのアカウント(クライアントと社内クリエイティブチームの窓口、PM業務を担当する役割
なども経験しているため、比較的高い説得力で本記事をお届けできるのではないかと考えています。
はじめに:新卒採用における動画活用の重要性
この記事をお読みの皆様であれば、「いわずもがな」であることは理解した上で少しだけ触れたいと思います。
スマホ・動画ネイティブ世代へのアプローチ
いまや多くの若年層にとって、動画は生活の一部です。特に「TikTok」などのプラットフォームは、若年層の動画視聴や動画制作文化に多大な影響を与えています。
こうした背景から、スマホを通じて動画に親しむ「動画ネイティブ世代」が現在の新卒採用の主なターゲット層となっています。この世代にリーチするためには、彼らの行動様式に合わせたコミュニケーションは必要不可欠です。マーケティングにおいて、ターゲットの行動に合わせることは基本です。新卒採用活動も例外ではありません。
リモート授業の普及と採用活動への影響
コロナ禍をきっかけに、多くの大学がリモート授業を導入しました。同時に、多くの企業でもリモートワークが一般化し、ホワイトカラーの職場ではリモート環境でも業務が問題なく進められることが証明されました。こうした変化は学生の意識にも影響を及ぼしています。
例えば、会社説明会に参加した学生が、特に目新しい情報が得られない「普通の説明会」に参加した場合、「リモートで済むのに、なんのために現地まで来たのだろう?」と不満を抱く可能性があります。場合によっては、「生産性の低い会社」というネガティブな印象を与えかねません。
そのため、企業はオンラインとオフラインの情報提供を明確に分け、それぞれに適した手法を採用する必要があります。そして、どちらの場面でも活用できるのが「動画」です。動画は視覚的にわかりやすく、学生に深い印象を与えるため、新卒採用活動において強力なツールとなるでしょう。
新卒採用における動画活用の5つのメリット
新卒採用において動画を活用するメリットは多岐にわたります。以下の5つのポイントを押さえることで、より効果的な採用活動が実現できます。
- エントリー数の増加
- 企業イメージ向上
- 候補者の興味・関心を引きやすい
- 社風・カルチャーの理解や共感
- 仕事内容の理解度向上
それぞれのメリットを深掘りしながら、具体的な活用方法や事例もご紹介します。
1.エントリー数の増加
ある程度セグメントされたターゲットからのエントリーを、一定数確保するというのはおそらくどの企業の採用担当者の方にも共通する課題の1つでしょう。一方で、「採用目標を達成するたに、エントリーの質にこだわるよりもまずは数を確保したい」というご担当者もいるのではないでしょうか。
- 知名度がそもそも低い
- ニッチな業界である
- 不人気業界である
- 業務内容が理解されづらい
このような課題を抱えている場合、いずれも動画によるアプローチが可能です。
例えば、知名度を上げるということであれば、動画広告を利用するのもの1つの方法。配信するターゲットの年齢層や性別、エリア、配信する端末をスマホに限定するなど様々なターゲティングが可能です。
また、不人気業界であれば、上記に加えて「配信タイミング」も工夫する必要があります。例えば、採用ボリュームの多い会社の選考結果がでた後に集中的に配信するなど、ターゲットの心理状態も含めて設計できれば効果は上がりやすくなります。
いずれにしても、「エントリー数を増やす」ということは情報を届けられる範囲を広げる必要があるため既存のツールを改善するだけでは難しいでしょう。必ずしもお金をかける必要はありませんが、何らかの方法で広く情報を届けることが必要になります。もちろん、届ける情報/クリエイティブについても工夫が必要です。
2.企業イメージ向上
業界によっては、「〇〇業界は…」のように業界ごと避けられてしまうことあるでしょう。また、遠い過去の情報が掘り返されてしまい、「ブラック企業」などの汚名を着せられていることもあるかもしれません。
また、実態とかけ離れたイメージによってターゲットにはなり得ない学生が集まってしまう…ということもあるでしょう。
採用活動において、このようなネガティブイメージや実態とのギャップは大きな障害になります。
率直にお伝えすると、1本の動画だけでこのようなイメージを覆し改善することは難しいでしょう。
しかし、採用活動全体をデザインし、その中で上手く動画を有効活用することができれば少しずつ改善することができます。
下記におそらく、不人気業界におけるイメージ向上を目指した動画だと考えられる事例をピックアップしてみましたので、制作背景や狙いなどを考察してみてはいかがでしょうか。
ここまでやるかマルハン!?|新入社員の研修初日〜初出社まで密着
3.候補者の興味・関心を引きやすい
静的なウェブサイトやパンフレットと比較して、動画は圧倒的な情報量を視覚・聴覚を通じて提供できるため、視聴者の関心を引きやすいメディアです。
例えば、動画は文字情報の約5000倍もの情報量を含むといわれており、「見たらつい引き込まれる」という特性を持っています。
また、「メラビアンの法則」によると、視覚情報は聴覚や言語情報よりも強い影響力を持つとされています。このため、動画を用いることで視覚的に強い印象を与えやすく、候補者の心に残るアプローチが可能です。
4.社風・カルチャーの理解や共感
学生にとっては、採用向けのWEBサイトや採用担当者の方の人柄など、情報源がかなり限られているため、社風やカルチャーなどはある意味では仕事の内容やキャリアよりも気になる部分かもしれません。
特に最近では「パーパス経営」「パーパスドリブン」などの「働く意義」について考えられることも多くなり、そこに紐づく社風・カルチャーが「どんな感じ」なのかというのはミスマッチを避けたいと考える学生であればキャッチアップしておきたい情報でしょう。
しかし、この社風やカルチャーというのはある程度言語化されていたとしても実際には「感じる」部分も大きいため正確に伝えることは難しいところでもあります。
そこで有効なのがやはり動画です。多くのの社員に出演してもらったり、言語化されている理念・ビジョンなどをビジュアルとして表現するなど方法はいくつか考えられますが、多くの企業がそれを「採用コンセプト」という形で表現しています。
いくつかピックアップしましたので、ご参考下さい。
Yahoo! JAPAN 採用ムービー 「当たり前を創る」って挑戦だ
【採用動画】 朝日建設株式会社 2020 コンセプトムービー
5.仕事内容の理解度向上
「具体的な仕事の内容を理解する」というのは採用担当者がどれほど努力をしたところで100%それを達成することはできません。
しかし、大切なことは学生が「具体的に理解できた、イメージできた」と感じ、納得することです。
その意味で、下記のようなドキュメンタリー(風)の動画は非常に有用です。
実はこのドキュメンタリー(風)の動画は制作されている企業はかなりあるのですが、あまりYoutubeなどにアップされることはなく、基本的には会社説明会というクローズドな場面でのみ放映されることが多いです。
そして、ネット上で公開されない動画ということで、例えばクライアントが出演してくれていたりかなり踏み込んだ内容にも触れられていたりするため、理解度の向上はもちろん学生の満足感・納得感の醸成にも一役買っているケースが多くあります
新卒採用向けの動画制作におけるポイント
新卒採用向けの動画制作において、特に気をつけなければならないのは下記の4点です。
- 目的を明確にする
- ターゲットを明確にする
- 明確なコール・トゥ・アクションを設定する
あらゆる動画制作について、同じことが言えるのですが新卒採用での動画活用については、冒頭で触れたとおり特に動画に慣れ親しんでいる「ネイティブ」な世代であることを考えるとより慎重に検討する必要があります。
具体的にどのようなポイントを抑えるべきか、1つずつ解説します。
目的を明確にする
すごく当たり前のことなのですが、意外と見落とされがちです。
「なんとなくカッコいい動画」「とりあえずインタビュー動画を制作しようと思ってます」とかだと、あまり意味のない動画が出来上がってしまいます。本当にもったいないです。
ちなみに、ここでいう「目的」は「エントリー数を増やす」とか「歩留まりを上げる」とかだと動画クリエイティブに落とし込むには少し抽象的です。
しっかりと役割を果たすことが期待できる動画を制作するためには、上記の「目的」に2〜3回ほど「WHY」をぶつけてみて下さい。
- なぜ歩留まりが低いのか?→面接での印象が良くない?会社や仕事の説明が分かりづらい?
- なぜ会社や仕事の説明が理解されないのか?→説明の仕方が悪い?内容が複雑でわかりにくい?
という感じで、ある程度のところまで深ぼったり要素分解しながら「動画の目的」を明確にしましょう。
ターゲットを明確にする
すごくすごく当たり前のことですが、これも見落とされがち…というか動画を制作するにあたっては少し解像度が荒い状態であることが多いです。
例えば、採用ターゲットは「MARCH卒で体育会に所属していたような学生」だとして、動画のターゲットもそのままでよいのか?もう少し絞ったほうがいいのか?あるいは、広げたほうがいいのか?という部分を検討しきれていないケースがあります。
- 採用ターゲットは「MARCH卒で体育会に所属していたような学生」
- 動画を制作するのは、〇〇〇〇という目的で、動画には〇〇〇〇という役割を担わせたい。
- そうすると、動画のターゲットは「MARCH卒で体育会に所属していたような学生」かつ「どちらかというと、〇〇〇〇タイプ」というように絞り込まれるのか「中学高校くらいから大学を卒業するまでなにかに打ち込んだ経験のある学生」というように少し広げるのか。
…という感じです。
新卒採用においても、ナビサイト上で検索条件で絞り込みという意味でのターゲットと、面接で絞り込む際のターゲットはそれぞれ解像度が異なるはずです。
前述の「目的」と紐づくため、ターゲットのことだけを考えても答えはでません。もしこの記事を読んで「あ…」と思った方は目的と合わせてどのようなアプローチが最適であるかについて、もう一度考えてみてはいかがでしょうか。
明確なコール・トゥ・アクションを設定する
「行動喚起」と訳され、デジタルマーケティングの世界ではユーザーに「次に起こしてほしい行動」を誘導することを指します。
つまり、動画を視聴したあとの行動としてどのような行動を期待するのか、そしてそのためにどのような気持ち・感情になって貰う必要があるのかを明確にしましょう、ということです。
当然ですが、やはりこの点についても目的との紐づきがあり、目的の解像度が低いとターゲットやコール・トゥ・アクションも同じように解像度が低い可能性が高いです。
もし、動画制作を具体的に検討しているようでしたら、まずはこれらのポイントを整理することから始めてみましょう。
新卒採用向けの動画の種類
新卒採用向けに制作・活用される動画の種類は大きく、下記の6つです。
- 会社説明会動画(オンラインセミナー)
- 社員インタビュー動画
- 採用コンセプト動画
- 会社紹介動画
- 座談会動画
- ドキュメンタリー動画
それぞれ、3社ずつ事例をピックアップしていますので、どのような動画なのかぜひ御覧ください。
会社説明会動画(オンラインセミナー)
こちらも読んで字の如し、のオンラインでの会社説明会の動画です。下記の記事にも詳細をまとめていますのでご興味のある方はぜひご一読下さい。
採用Webセミナー(2026年採用)
サイバーエージェント ビジネスコース オンライン会社説明会
アパカバール 2023新卒採用向け WEB動画セミナー
採用コンセプト動画
毎年リニューアルされる企業もあれば、数年は同じコンセプトという企業もありその運用は様々ですが、「自社がどんな会社か」「どんな人材をもとめているのか」「どういう人であればマッチするのか」などを検討した上で言語化したものがコンセプトです。
そしてその採用コンセプトを「動画」としてより感覚的に理解・共感しやすくしたものが採用コンセプト動画です。
トヨタ自動車九州 新卒採用ムービー 「最高のチームは人づくりから」
採用コンセプトムービー/コニカミノルタ
グリー株式会社新卒採用ムービー_full ver.
予算別の採用動画事例
この章では、予算別にどのような動画が制作できるかをご紹介しています。こちらでご紹介している動画は「弊社の制作実績」ではありませんが、「caseであれば概ねこれくらいの予算感で制作できる」ということでご紹介しています。
また、動画制作は制作条件によって費用が大きく変動しますので、必ずしもどの制作会社でも同じくらいの金額で制作可能であるということでもございません。
あくまでも参考程度の情報にとどめて頂けるとよいかと思います。
30-50万円
60-80万円
100-120万円
120-150万円
200万円以上
動画制作の外注を失敗しないための、4つのポイント
ここでは失敗しないために重要な4つのポイントをご紹介します。
最適な制作会社を選ぶ
当たり前といえば当たり前ですが、やはり重要なポイントです。
ここでお伝えしたいのは、「信頼できる営業を選ぶ」ということです。
筆者が動画制作に携わり始めた10年ほど前とくらべると動画制作会社は格段に増えました。そしてどの会社も甲乙つけがたいほど豊富な制作実績を持っています。(弊社はまだ会社としての実績は少ないですが…)
その中で何をポイントに選ぶか?の1つのポイントが上記の「信頼できる営業担当者を選ぶ」という視点です。
詳しくは下記の記事にまとめていますが、端的にお伝えすると、

- 優秀な営業担当は、優秀なプロデューサー、優秀なクリエイターをアサインできる
- 優秀な営業担当は、無用なトラブルを避けてくれる
- 優秀な営業担当は、コミュニケーションがスムーズ
という3点です。「絶対この会社がいい!」と思える会社が見つからず悩むことがあればぜひ参考にしてみてください。
そしてもし悩むようであれば、ぜひ筆者にもご相談ください。
スケジュールに余裕を持つ

基本的なことではありますが、何らかの理由で急いで制作を進めなければならないケースもあります。そのような場合、
- 人的なリソースを確保するために通常スケジュールでの進行よりもお金がかかる
- 急ぐ分、準備・確認に通常より時間を割くことができず何らかのトラブルが起きる可能性が高くなる
…というリスクがあります。
会社によっては、短納期でも費用を抑えて制作してくれる会社もあるかもしれませんがそれでもスケジュールを短縮するということは、どこかでなにかを犠牲にせざるを得ません。
もちろん、通常スケジュールよりもトラブルが起きる可能性が高まるというだけで、「必ずトラブルになる」「失敗する」わけではありません。制作に慣れているプロが進行する以上、トラブルの種は極力排除し最大限問題なく進行できるよう尽力することは間違いありません。
ただ、それでも想定外のトラブルに見舞われることもあるのが動画をはじめ、クリエイティブ制作の現場です。
だからこそ、できる限りスケジュールには余裕を持つことを強くおすすめします。
完成イメージをできるだけ具体的にする
いざ、動画制作をスタートする際には制作会社側からどのような動画が完成する予定であるかは絵コンテやシナリオなどの資料を用いて説明があるはずです。
動画制作に慣れていれば、そのような資料で具体的なイメージを持つことができますが、初めての場合にはそれでもイメージが難しいこともあるでしょう。
そのような場合には、遠慮なく制作会社側に質問してイメージの具体化に努めましょう。
制作過程で完成イメージの認識の相違などのズレが生じてしまうと、軌道修正には時間とコストがかかってしまいます。
社内調整を怠らない
発注側の企業の担当者の方の役割の1つが、自社内のステークホルダーとの共通認識の形成です。
- こんな目的でこんな動画を制作します。
- これが完成イメージです。
- いつころ完成良い体です。
- このタイミングでシナリオや動画を確認して、いつまでにフィードバックしなければなりません
…などなど、動画制作の背景や前提、クリエイティブイメージ、スケジュールなどについて関係者としっかりと「握る」ことができていないと、後になって「どんでん返し」が起きることは珍しいことではありません。
特に、動画制作について最終的なOKを出せる決裁権者とのすり合わせは重要です。
動画制作の流れ
年度末、期末で短納期での動画制作の場合には、事前に動画制作の流れを大まかにでも把握してどのステップでどのような作業・確認が必要になるのかは事前に理解しておいたほうがスムーズです。
詳細は省きますが、下の画像をご参考ください。

動画制作時の発注者(顧客側)の役割
制作スタート後が本番で発注者・顧客側にも制作会社には決して担うことができない重要な役割があります。
それは、
- 意思決定
- スムーズなコミュニケーション
- 具体的なフィードバック
という3つです。1つずつ解説します。
①意思決定
制作方針や企画、絵コンテなど動画制作についての情報の多くは制作会社から提案・提示されますが最終的な意思決定は発注者・顧客側の役割です。
もちろん、そのための自社内関係者との社内調整や根回しなども含まれます。
②スムーズなコミュニケーション
制作会社側がスケジュールを守るのは当然ですが、発注者・顧客側がスケジュールを守らない・守れないケースは少なくありません。
もちろんそれは、顧客側にとって納期が多少遅れても大した問題ではないから…という理由からくるものだと理解していますが、制作会社側はそのスケジュールを前提に制作スタッフのリソースを確保しています。
特に短納期での制作の場合には、発注側も制作スケジュールを死守することが求められます。
③具体的なフィードバック
制作会社からのアウトプットには、できる限り具体的にフィードバックするように意識するとよりスムーズに進行できます。
例えば、制作会社から提出されたデザインなどがイメージと異なる場合に、
「なんかピンと来ないのでやり直して下さい」
…というフィードバックだと、制作会社としてはどこから手をつけて良いのかの判断ができません。そのため、
「ここの色味をもう少し濃く(薄く)したのを見てみたい」
「ターゲットの心情を考えると〇〇なので、もう少しシャープな印象にしたいと思うのですがどうでしょう?」
など、
- どのように修正したいのか。
- その修正を行いたい理由や背景
をセットにして伝えるなど、より具体的なフィードバックを行うとコミュニケーションがスムーズになります。
動画制作はcaseへご相談ください。
とても長くなりましたが、ここまでお読み頂きありがとうございます。
もし、この記事を読んで「いいな」と思えたらぜひ弊社caseへ動画制作についてご相談ください。
情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
是非、下のボタンからお気軽にお問い合わせください。