動画制作の見積書を確認するポイントと項目についてプロが解説します。

動画制作に慣れていない人にとって、制作会社からの見積書・見積りは

・どう確認すればよいかわからない
・必要な項目が入っているかどうかわからない
・過剰な条件が入っているかもしれない

など、確認しようにも、「よくわらかない」ことが多く不安なことも多いでしょう。

もちろん、制作会社側はそのようなことが無いようにできるだけわかりやすく記載しているはずですが、それでも疑問や不安が拭えないケースは少なくないと思います。

本記事では、そんな方に向けて動画制作の見積書/見積りの確認のポイントから、見積書をもらう際に知っておいたほうが良いことまでを徹底的に解説します。

目次

筆者のプロフィール

まず、この記事を読んでいただくにあたって「誰が何を書いているのか?」も非常に重要な要素になると思いますので、簡単に私のプロフィールをまとめています。


【株式会社case 代表取締役/動画制作プロデューサー:加藤智史】
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など
約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社に
アカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、
動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。
2023年に株式会社caseを創業し代表を務める。

動画制作会社(予算数十万円〜数百万円)での営業兼プロデューサーとしての役割を中心に、広告代理店(予算数百万円〜数千万円)でのアカウント(クライアントと社内クリエイティブチームの窓口、PM業務を担当する)なども経験しているため、比較的高い説得力で本記事をお届けできるのではないかと考えています。

動画制作における、見積書・見積りの重要性

制作会社に発注する側として気になるのは、「見積書」の金額でしょう。「自分たちが希望している動画が、いくらで制作のできるのか」というのがおそらく最重要ポイントだと思います。

もちろん、見積書の金額が重要なのですが、同じくらいに内容や細かな項目、備考欄も重要です。

見積書の内容=発注内容となるため、

・見積書に書いてあることが、発注内容のすべて
・見積書に書いてないことは、発注内容には含まれない

…ということを、念頭に置いて隅から隅までしっかりと確認する必要があります。もし不安があれば、制作会社に見積書の内容を説明してもらうための時間を確保してもらい、双方の認識をすり合わせる機会を設けるのもいいでしょう。それくらい、見積書の内容は徹底的に確認するべきです。

見積りの項目について

動画制作の見積書に記載されることの多い、項目について下記にピックアップしています。それぞれが意味することについても簡単に説明していますので、ご参考ください。

ただし、すべての動画制作で、すべての項目が記載されているわけではなく、「項目名」も制作会社によって異なるため、その点についてはご留意ください。

よく使われる見積り項目

  • 進行管理費    :動画制作のプロジェクトを進行するための人件費。スケジュールや予算を管理しながら、お客様とのコミュニケーションを図る部分。
  • 企画費      :動画の企画にかかる人件費。コピーライティングなどの費用が含まれるケースもある。
  • ディレクション費 :企画内容を動画として成立させるためのディレクター、監督の人件費。ディレクターの実績・実力で変動するケースもある。
  • 撮影費      :撮影に必要な人件費。カメラマン、アシスタントなど必要な人数によって変動する。
  • 撮影機材費    :撮影に必要な機材費。撮影時に必要な機材の量、質によって変動する。
  • 音声収録費    :撮影時の音声収録に必要な人件費。必要な人数によって変動する。
  • 音声機材費    :音声収録に必要な機材費。撮影時に必要な機材の量、質によって変動する。
  • 照明費      :撮影時の照明に必要な人件費。必要な人数によって変動する。
  • 照明機材費    :照明に必要な機材費。撮影時に必要な機材の量、質によって変動する。
  • スタジオ費    :スタジオを借りる際の費用。スタジオの広さ、特殊性、撮影時間などによって変動する。
  • 制作費      :制作時に必要な諸経費(撮影時の弁当や軽食、細々とした物品の購入)や、想定外の出費に対応するためのバッファ。
  • 車両費      :お客様やスタッフの移動のために必要な車両の費用および、ドライバーの人件費
  • 編集費      :動画編集の人件費。編集スタジオを借りる場合にはスタジオ費が加算されるケースもある。
  • ナレーター費   :ナレーターのキャスティング費用。ナレーターの実績によって変動する。また、ナレーター音声を活用する期間に定めがある場合もある。
  • ナレーション収録スタジオ費:音声収録のためのスタジオを借りる費用。スタジオの立地、設備、利用時間によって変動する。

見積書/見積りのチェックポイント

制作内容などによって、重要なポイントは変動するため、すべてのケースに当てはまるポイントをお伝えすることは難しいですが、下記については概ねどの見積書にも記載されているはずです。必ず確認するようにしましょう。

また、当たり前のことではありますが、「見積書は隅から隅まで目を通す」ということが前提の書類となることについても触れておきたいと思います。

備考欄/特記事項

見積書の項目としては記載されていなくても、備考欄に「〇〇の場合は〇〇」など、費用に直結する記載がされていることも多くあります。これは、わざとわかりにくくしているということではなく見積り書の書式上、備考欄に記載するのが適切であるという判断からです。

また、備考欄には、

  • 見積書の根拠となる資料のURL
  • 発注時のキャンセルについて
  • 発注時に同意を求める書面のURL
  • 制作条件(動画の尺など)

などについても記載されていることがあります。注意して確認しましょう。

他社見積りとの比較

制作する動画が、例えば撮影が必要な動画である場合、その撮影の「日数」「スタッフの人数」「天気予備の有無」などが記載されているかどうか、記載されている場合、他社と比較して大きな差異が無いかどうかはチェックする必要があります。

基本的には、お客様が「制作したい」と考える動画について丁寧にヒアリング・提案した上でその動画の制作に必要な体制・工数を見積もって作成されているのが見積書なのでお客様側が疑心暗鬼になってチェックする必要はありません。

ただし、「A社とB社であまりにも条件が違う、金額が違う」などの際には、両社に詳細な説明をもとめて、その原因を探ることで後々のトラブルを避けることができる可能性を高めることができます。

わからないこと、疑問、不安などは遠慮せず確認する

見積書に限ったことではありませんが、見積書は制作費に直結する非常に重要な部分です。なので、もし「これってどういう意味だろう」「あのとき言ってた、あれは含まれてるのかな」など、少しでも疑問に感じることがあれば遠慮なく制作会社・営業担当に確認しましょう。

動画制作は非常にコミュニケーションの頻度・濃度が高くなるプロジェクトです。そのプロジェクトの開始前に信頼関係を築くことができなければ、制作はスムーズに進めることができません。

検討している制作会社や営業担当とその信頼関係を築くことができるかどうかの、ある種のリトマス試験紙の役割にもなり得ますので、ぜひ遠慮なくどんどん確認・質問するようにしましょう。

見積書のサンプル

Youtubeから、下記の動画をピックアップして実際に見積書を作成してみました。あくまでも動画を見て想定しうる範囲での見積りとなるため、実際の制作費とは何ら関係ないことについてはご留意ください。

見積りのサンプル動画

サンプルとして、GoogleCloudの導入事例インタビューの動画をピックアップしてみました。Google社ほどのグローバル企業になると、ブランドレギュレーションなどもあり、ぱっと見ただけではあまりわからないような部分にも細かなルールがあったりもするのですが、そのあたりの情報は考慮していません。

見積書サンプル

備考欄

・クオリティサンプル:https://www.youtube.com/watch?v=GDpG68njkbE&list=PLmoHjhhs3ySHbPOay4BJC-3yvHgODpRN5
・動画尺:120~150秒を1本、撮影:1日(準備撤収を含めた8時間以内での完了を予定)、BGM:あり、ナレーション:無し
・納品形態:MP4などのデータ形式/フルHDサイズ
・その他:キャンセル規定などについてはこちらをご参照ください(URL)
・納期:2025年◯月◯日

ある程度、サンプル動画を制作する際の見積りとして少なくとも自社で制作することを想定しながら見積りを作成していますが、実際にこの金額で制作できるかどうかについては、金額が上がる・下がる両方の可能性を含めて断言できるものではないことをご留意ください。

特に、上記の動画は自然光がしっかりと入っていることから、複数日の「天気予備」を確保されていた可能性も高いです。その場合には金額が上がります。

また、出演者側のお客様が全面的に協力されていることなと、さすがにGoogle社の導入事例だけあってかなり作り込まれていることがわかります。

一方で、自然光オンリーでの撮影を想定して、照明を削るという判断があれば照明費を削減することができます。このあたりは、「ロケハン」(下見)で現地をしっかりと確認して判断する部分になります。

上手な見積りの依頼の仕方

①一定の幅のある予算と、制作したい動画についての情報を提示する

「どんな動画が良いのか全くイメージがつかない…」という場合は

例えばインタビュー動画が作りたいとか、
いわゆる会社紹介っぽいのって上司からは言われてるんだよなぁとか

それくらいの情報があれば、

「50万〜100万円で制作可能なインタビュー動画の事例(実績)を教えてください」
「100万〜200万円で制作可能な会社紹介動画の事例(実績)を教えてください」

という依頼でもOKです。

上記のような依頼であれば、おそらく各社から3〜4本程度の実績が送られてくるてくるはずです。

その中からイメージに近い動画をピックアップし、さらにその動画を事例として1の「イメージに近い動画を提示する」を
実行することで制作予算の把握が可能になります。

多少手間ではありますが、自分で「動画を探すのがめんどくさい」or「イメージがつかない」という場合はこの方法を試してみてください。

②予算と作りたい動画事例を同時に提示する

見積りをとる…という趣旨からは少しそれてしまいますがこれができるとベストです。

どちらかというと、見積りをとるというよりは制作パートナーを決める際の方法とも
言えるのですがこの方法が最もコスパの良い制作ができる可能性が高まります。

理由は、以下の通りです。

・制作会社側に「この会社は本当に動画を作る気がある」と思ってもらえる
・「確度の高いお客さん」なので金額面で頑張ってもらえる可能性が高い
・「確度の高いお客さん」なので、予算内で制作する方法を模索してくれる

ただし、提示した事例に対して予算が高すぎる場合はリスクでもあります。

敢えて提示された予算よりも安く制作したいという制作会社はありません。

この方法で進める場合は提示する事例と予算のバランスをある程度見極められる自信がある場合に限った方が良いでしょう。

③イメージに近い動画を提示する

見積りを依頼する際に大事なのは「自分がイメージしている動画に近い事例」
見積り依頼時に提示することです。

「こんな感じの動画制作を依頼した場合、いくらくらいかかりますか?」

と問い合わせると、あなたのイメージする動画を制作する際に必要になる費用を
大まかにつかむことができるでしょう。

「大まかに」というのは全く同じ制作条件でも制作費用というのは、制作会社やその他の要件によって変動するためです。

細かい条件を制作会社と詰めるまでは、あくまでも「概算」としての見積りである可能性が高いので
その点は理解しておいた方が良いでしょう。

それでもできる限り詳細な制作費を知りたいときには、そのイメージに近い動画のどの部分が最も自分のイメージと
重なるのかを伝えましょう。

さらに、

  • キャスト(出演者)
  • ロケーション(撮影場所)

などの手配を自社で担当するのか、制作会社に任せたいのかなど細かな部分なども
コチラの記事を参考に伝えてみましょう。

最後に

もし、動画制作をご検討される場合には、ぜひcaseにもお問い合わせください。

情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
是非、下のボタンからお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

【株式会社case 代表取締役 / 動画制作プロデューサー】
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社にアカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。現在は本メディアの運営を通じた企業の動画制作支援や、動画制作会社の営業支援などを行う。

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