動画制作に限らず、Web制作やパンフレット制作、システム開発やコンサルなども含めて、おそらくほとんどの場合で見積りや提案は「無料」で行われていると思います。
これは弊社も同じで、基本的にそのタイミングで費用が発生してしまうと「無料でやってくれる会社があるから」ということで仕事になる可能性が限りなくゼロに近づいてしまうからです。
でも、無料だからといって簡単で工数がかかっていないわけではなく、むしろそこから競合との競争が始まるので特に営業にとっては一番の力の入れどころです。
しかし、お客様にとっては「良い提案」はしてほしいしできるだけ安い見積りの方が嬉しいけど、本番は制作段階であり、成果物・納品物が最重要です。
何も問題無いといえば、無いのですがもっと良くなる可能性も秘めているなとも思うのです。
改善できそうなポイント
個人的には、この辺がクリアされるともっと良い動画制作ができそうだなと思います。
- 会社の目的と、担当者の方が望むものを分けて正直に伝えてもらう
- 提案後に可能な限り詳細にフィードバックしてもらう
①会社の目的と、担当者の方が望むものを分けて正直に伝えてもらう
制作会社の営業として提案する際に、個人的にもったいないなぁと感じる一番のポイントは、制作会社の営業は「勝てる提案」を目指すが、お客様は「目的を叶える提案」がほしい。ということです。
勝てる提案=目的を叶える提案
であれば問題ありませんが、すべての案件でそうなっているとは言い難いなと感じます。
例えば、お客様の「会社」単位で考えてベストな提案と、目の前の担当者の方にとってベストな提案もやはり必ずしも一致するとは言えません。動画制作の必要があるけれどもその担当者の方にとっては上司に言われて仕方なくやっている「余計な仕事」なのかもしれません。
その場合は、
・会社としての目的を叶えられそうな提案
よりも、
・できる限り担当者の方の手間がかからず、なおかつ上司からも文句を言われなさそう
な提案の方が担当者の方にとって魅力的な可能性があります。
…なので、もし「できるだけ手間をかけたくない」とお考えの場合にはその旨を正直に制作会社側に伝えていただけると嬉しいなと思うのです。
②提案後に可能な限り詳細にフィードバックしてもらう
特に失注した案件(お客様からみると、発注しなかった企業)には、可能な範囲で詳細なフィードバックをいただけると嬉しいなと思います。
さきほど触れた通り、提案や見積りは無料ではるものの工数はかかるので、少し厚かましいかもしれませんがその工数・手間に報いる気持ちで、フィードバックをいただけると嬉しいなと。。
お客様にとってのメリットがあまりないように感じるかもしれませんが、この「詳細なフィードバック」はほとんどの企業がやらないので、少し時間を確保して実行するだけで制作会社にとっての「とっても丁寧でありがたいお客さん」になることができます。
そうすると、今回は発注しなかったとしてもまたどこかのタイミングで見積りや提案を依頼する際に改めて声をかけやすくなりますし、制作会社としても前回は失注したけれど今回こそは!とやる気になってくれる可能性も高くなりますし、制作進行時にもより一層力を入れてくれるようになるはずです。
お客様側からすると、発注しなかったというのは負い目のように感じられるかもしれませんが、制作会社側からすると日常的な風景の1つです。もちろん受注したい気持ちやお客様と仕事をしたいという気持ちはあるので残念ではあるのですが、「日常茶飯事な出来事の1つ」なので、気にする必要はないです。
ぜひぜひ詳細なフィードバックをお願いいたします。
「決め打ち発注」がみんな幸せではないだろうか。
そもそも、相見積りなどせずに「この会社に発注しよう」と1社に狙いを定めて依頼できたほうが楽だし、幸せだよなと思ったりします。
発注側のメリット
発注側からすれば、
- 何回も商談して、同じ説明をする必要がない
- 複数社の提案を聞いて比較検討する必要がない
など、メリットがあります。大したメリットじゃないなーと感じられるかもしれませんが、
例えば3社に声をかけるとすると、
- 3社探して問い合わせするのに1-2時間
- 3社と打ち合わせするのに、1時間×3社で3時間
- 3社分の提案を聞くのに、1時間×3社で3時間
- 見積り、提案を精査して意思決定するのに◯時間
…という具合に、1営業日分くらいは最低でも工数を取られてしまいます。担当者単位で考えても1営業日あればもっと別の仕事ができたはずですし、会社単位で考えれば、1営業日分のコストを抑えられるはずです。
なにより、どうせ1営業日分の工数を割くのであれば、「どの会社を選ぶか?」よりも1社決め打ちにして「どのような動画を制作するとより良いものになるか?」を議論・検討する時間に充てたほうが生産的だなとも思います。
制作会社側のメリット
制作会社の視点で考えると、
・勝つための提案をする必要がなく、「受注」案件として安心して工数が割ける
というのがわかりやすく、最大のメリットです。
少し内側の話になりますが、受注することがほぼ確定している案件であれば、通常は営業担当者しかでてこない商談に、プロデューサーやディレクターなどが同席してより具体的な制作についての話を進めるということも可能になります。
営業工数を削減できる分、「制作」にコストをかけることができるのです。
発注側の懸念とその対策
しかし、いきなりあまり知らない会社に決め打ちで発注するというのは怖いですよね。。もちろん、「信頼できそうだ!」という会社が見つかればそれでもいいですし、そうでなければ一度取引をした会社が信頼に足りる会社であれば2回目以降は決め打ちにするなどでも良いでしょう。
また、社内規定的に相見積りが必要な場合でも「基本的には御社に発注しようと思っている」と伝えるだけでも、上記のメリットは享受しやすくなります。
結論
結論、制作会社側が信頼に足る存在であればいいわけで、お客様側に何かを求めるのは筋違いだなと、このコラムを書きながら自分なりの結論に至りました。
お客様が楽に意思決定できて、制作側としては予算の中で提供できる価値を最大化する。そのために信頼関係を築き、維持する。ことを地道に続けるしかないなと。。
ただ、もしこの考えに賛同いただけるようでしたら、ぜひ弊社にお声がけ頂いた際には、提案後に可能な範囲で詳細なフィードバックをいただけると嬉しいです…。
なんだかとりとめのない話になってしまいましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。