新卒採用向けの密着動画|制作のポイントとよくある失敗例

新卒採用で「実際に働くイメージ」を最短で届けるなら、実際の仕事現場に寄り添う密着動画が有効です。声色や間、移動のテンポ、チームの空気感などの“非言語情報”まで伝わるため、仕事内容とカルチャーの両方を具体的に想起させられます。

説明会はもちろん、採用サイト・SNSへの横展開や、短尺の切り出しも可能で、汎用性が高く費用対効果の良いフォーマットである点もポイントです。

本記事では、新卒採用向けの密着動画について、実務目線で制作のポイント(コツ)予算別の作り方期間の目安失敗しやすい落とし穴をまとめて解説します。これから企画する担当者の方が、今日から使える具体策ベースで整理しました。

目次

よくある質問

新卒採用向け密着動画の制作期間はどれくらい?最短で進める条件は?

最短6週間、標準:約2〜2.5カ月が目安になります。

  • 最短約6週間
  • 短縮の鍵
    • 出演者・上司・顧客のスケジュール確保(候補日を複数提示)
    • 撮影許諾の事前取得(撮影・音声・顔出し・ロゴ/社外秘の扱い)
    • ロケハン省略の可否判断(代替案の用意)
    • レビュー1回固定+締切合意
  • 屋外要素があれば天候予備日も計画に。
新卒採用向け密着動画を成功させるコツは?

視聴者の視聴前後の心情を想定した上で、取材対象者や企画を決めること。そしてインタビューで自然な言葉を引き出すこと。

  • 誰に何を見せるかを先に固める(理想候補者像×訴求ポイント×視聴後の行動)。
  • 誰を追うかロールモデル性+話せる人で選定(活躍度と同等に“語りの安定感”を評価)。
  • ロケハン→香盤→許諾を綿密に(採光・騒音・動線・電源・機密物)。
  • Bロール(=インサート)設計要点×Bロールを1:1で事前定義して撮れ高漏れ防止。
  • NG回避:暗記・カンペ多用は避ける(要点メモ+会話で引き出す)。
新卒採用の密着動画って、いくらかかる?100万と150万で何が変わる?

60−150万が目安。予算が増えると撮影日を増やしたり、媒体ごとに最適化した短尺版を制作するなどの応用が効く。

  • 相場目安:概ね60万〜150万円(要件によって±)。
  • 100万円クラス:1〜2日撮影/2〜3ロケ/Dir・Cam・照明・音声の4名体制。本編1本+最低限のBロール(=インサート)。
  • 150万円クラス:1.5〜2.5日撮影/3〜6ロケ/上記+アシスタント。本編+短尺2〜4本(縦横対応)、照明設計&モーション要素を強化。
  • 撮影時間・ロケ数・人員・短尺運用の幅が拡張=見せ方の自由度と最終クオリティが安定。
新卒採用向けの密着とインタビュー、どう使い分ける?両方入れるべき?

仕事内容を具体的にイメージしてもらいたいなら、密着動画。限られた予算で先輩社員の言葉を届けたいならインタビュー。

  • インタビュー:メッセージの論理と要点を短時間で伝えるのに最適。
  • 密着非言語(表情・動き・現場音)で仕事とカルチャーのリアルを可視化。
  • 併用の王道密着+差し込みインタビュー。感情(密着)と情報(インタビュー)を両輪化。
  • 運用面:密着素材は**短尺切り出し(縦・横)**との相性が良く、説明会/SNS/採用サイトへ横展開しやすい。

新卒採用で密着動画が効く理由・メリット

新卒採用における、密着動画活用のメリットは大きく下記の3つです。

  • 非言語情報まで届く:声・表情・動き・現場の音が“リアル”を補強
  • 1日の流れが可視化:開始〜終業までの具体を示し、入社後のギャップを低減。実際の仕事のイメージやキャリアステップまで臨場感をもって伝えられる。
  • 高い汎用性:説明会/採用サイト/SNS/メール同梱…複数チャネルに再編集して展開しやすい

密着とインタビューの違いは「主役の体温」です。インタビューがメッセージの説得力を生むのに対し、密着は“日常の動作や関係性”が信頼感を底上げします。両者を組み合わせ、密着+差し込みインタビューで「感情」と「情報」を両輪にするのが王道です。

実際に筆者も数多くの採用向けの密着動画制作に携わりましたが、そのうちのほとんどの企業が一度制作すると、翌年もしくは翌々年にリニューアルされていました。

それほど、学生のリアクションが良く、採用活動の中でも学生から動画の話が良くでてくるとの声をよく頂いていました。

制作ポイント(コツ)|全体像

制作は基本的に制作会社側でリードするため、発注側が気にしすぎる必要はないのですが、制作のポイント・コツとして下記を意識しておくとより良い動画に仕上げることができるので、ぜひご参考ください。

  • 誰に何を見せるか:想定視聴者(理想候補者像)と訴求したい価値、訴求した際の視聴者の反応を細かく想定する
  • 誰を追うか:ロールモデル性+カメラ前で自然に話せる人を主役に
  • どこで撮るか:採光・騒音・動線・広さを満たすロケーションを事前調査(ロケハン)

繰り返しになりますが、基本的には制作側が十分に検討している部分ですが、特に「誰に何を見せるか」「誰を追うか」の部分は発注側の方が解像度高く検討できる部分でもあるため、遠慮なく意見・希望を伝えるようにしましょう。

企画のコツ|ストーリー・出演者・質問設計

前述の「誰に何を見せるか」が明確になると、企画としてあるべき姿が少しずつ浮き彫りになります。そのため、「企画ありき」ではないということは意識しておいたほうが良いです。企画のコツとしては下記の3つです。

  • 型を決める:①1日の流れ型 ②案件密着型 ③成長譚(オンボーディング)型 など。
  • 出演者選定:活躍度や見た目だけでなく「語りの安定感」を評価軸に。インタビューでの語りの説得力が動画の良し悪しを大きく左右します。
  • 質問設計:主質問→深掘り→想定キーワードまで細かく原稿として用意する(内部用)。ただし暗記原稿はNG。原稿はあくまでも制作サイドの認識を合わせるため。

“意図どおりの文言”を厳密に読み上げさせると、目線や間が不自然になり真実味が落ちます。要点メモ+会話で引き出す設計にするのが密着の鉄則です。

撮影前の準備|ロケハン・香盤・許諾

動画制作はとにもかくにも、撮影が上手くいかないことには、良い仕上がりになりません。撮影を上手く進めるためには、事前の準備・段取りがとても重要です。こちらも基本的には制作側の守備範囲ですが、ヌケモレなどがないように発注側でも少し気にかけておくと安心です。

ロケハンのチェックリスト:採光(方角/時間帯)/騒音源(空調・道路・上下階)/残響/電源容量/広さ・控室/搬入動線/撮影可否ゾーン/情報漏洩リスク(モニター/掲示物)。

香盤づくりの要点:“易→難”の順で質問、ウォームアップ時間を確保、Bロールは語りの要点に対して1:1で紐づけ、移動・食事・撤収のバッファを明記。出演同意・社外秘の取り扱い、BGM/画像素材の権利は事前に合意します。

許諾について:お客様先や、社内でのMTGなど撮影する場所には事前に必ず確認して許諾を得ておきましょう。

当日の現場運用のコツ

撮影が、動画の仕上がりを左右する…と言っても発注側にできることはないのでは?と思われる方もいるでしょう。しかし違います。発注側だからこそできることの一つとして現場の「空気づくり」があります。特に採用動画の場合、取材対象になるのは、発注側企業の方です。そのため担当者が積極的に現場の空気を作ろうとする方なのかどうかで、現場の空気・雰囲気は大きく変わります。

当然、インタビューなどに応える側としては、軽い空気・明るい雰囲気の方が話しやすくなり、結果的によいインタビューになります。

ということで、当日の現場運用のコツです。「空気づくり」以外は基本的には制作側が気にするポイントになります。

  • 空気づくり:雑談→簡単な質問→本題の順。言い直しを許容し安心感を醸成。事前インタビューなどを挟んでおくと、ベター。
  • 音と光を最優先:ノイズ源を止める/自然光or照明を早期に方針決定
  • Bロールの必須4種:手元/相手(会話相手・上司部下)/移動/空間の引き
  • モニター確認:目線・服の乱れ・背景の情報露出・マイク擦れを逐次チェック

制作期間の目安とスケジュール

結論からお伝えすると密着動画の制作期間は、最短で約6週間程度、標準だと2〜2.5ヶ月程度です。

  • 取材対象者の決定
  • 対象者の上司
  • 対象者の顧客
  • 取材各所への許可どり
  • 取材各所との撮影微調整

などなど、関係者が増えるためどうしてもスケジュール調整で一定以上の時間が必要になります。

下記、最短で進める場合と標準スケジュールの場合のスケジュールイメージです。

6週間で進める場合

・撮影は1−2日

・撮影日は納品日からの逆算で候補がある程度絞られるため、調整の難易度が高くなる

→仕事に関連する各所への許可取り・撮影日の調整がスムーズに進まないと実現が難しい。

1.5〜2ヶ月で進める場合

・撮影は2−3日

・関係各所の都合を鑑みながら、撮影日を調整可能になる。

よくある失敗と対策

密着動画で特に気をつけるべきポイントとしては、インタビューが固くなってしまったり「言わされ感」が出てしまうことです。下記に4つまとめていますが、それ以外の部分は制作側の対策で対応できるため、発注側が気にする必要はあまりありません。とにかくインタビューが自然体で、その人ならではの言葉で語ってもらえるように準備が必要です。

  • 暗記トーク・カンペ依存:取材対象者に想定問答などをできるだけ渡さないようにしましょう。緊張してしまう人ほど、事前に回答を暗記して読み上げるようにインタビューに応じてしまいがちです。事前インタビューを実施して、「当日もこんな感じのことを聞くと思います」程度にとどめておくのがベター。
  • ロケハン不足:採光/騒音/電源/動線/情報露出を現地確認。代替案も用意
  • 撮れ高不足:要点×Bロールを事前に1:1で設計。予備の代替カットも
  • 社外秘の写り込み:モニター/掲示物はテスト撮影で事前チェック

あわせて読みたい

密着型の参考事例と見どころは、こちらで解説しています。

密着動画の制作費については下記で詳しく解説しています。

最後に(無料相談のご案内)

“誰を追い、何を映すか”が密着動画の成否を分けます。短時間で構成案(質問設計の方向性)概算見積り/想定スケジュールをたたき台にしてお渡しします。資料が揃っていなくてもOK。まずはお気軽にご相談ください。

ご相談でお渡しできるもの

  • 概算見積りとスケジュール案
  • 想定視聴者に合わせた構成のたたき台(密着+インタビュー併用案も)

情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
是非、下のボタンからお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

【株式会社case 代表取締役 / 動画制作プロデューサー】
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社にアカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。現在は本メディアの運営を通じた企業の動画制作支援や、動画制作会社の営業支援などを行う。

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