顧客インタビュー動画 制作のポイント/コツ

顧客インタビュー動画は商談化率向上や比較検討の後押しツールとして、有効なコンテンツである一方で、顧客への出演依頼やスケジュール調整など自社都合だけでは制作ができないという特徴があります。

本記事では、BtoB企業のマーケティング・営業企画担当者に向けて、商談で確実に“効く”構成の型と、顧客の負担を最小限に抑える質問設計、そして失敗を回避するための発注前チェックリストを解説します。

目次

結論ショートQ&A:顧客インタビュー動画の基本

何を基準に設計すればいいですか?

「目的」「ターゲット」「使用場面(LP・営業資料・展示会)」から逆算して設計します。ここが曖昧だと、伝える相手と伝える内容が噛み合いにくくなります。

構成の基本となる型はありますか?

「導入前の課題」→「選定の決め手」→「導入後の効果」の3ステップ構成が基本です。視聴者が自身の課題と重ね合わせやすくなります。

質問設計のコツは何ですか?

「数値」「比較」「具体例」の3つを引き出す質問を用意します。浅い回答を防ぐために、「いつ」「どこで」「どれくらい」を確認する深掘り質問も準備します。

顧客への依頼はどう進めればよいですか?

満足度の高い顧客から優先し、関係性の深い営業担当経由で依頼します。顧客側のメリット(取り組みの認知・採用/広報への転用など)と、負担が最小限であること(拘束時間・質問票の事前共有)をセットで提示します。

再利用のために最初に決めることは?

本編の尺だけでなく、SNS用の短尺版、スマホ用の縦型比率、展示会用の無音字幕版など、必要なバリエーションを企画段階で確定させます。

顧客インタビュー動画がBtoBで強い理由

BtoBの商談において、顧客インタビュー動画はテキスト事例以上の効果を発揮します。その理由は大きく3つあります。

第三者の声で信頼を短時間で積み上げる

自社からの説明よりも、実際に利用している第三者の言葉の方が説得力を持ちます。動画なら、表情や声のトーンが伝わるため、テキストでは補いにくい「納得感」が生まれます。

合意形成を短縮(社内共有に効く)

BtoBの購買プロセスでは、複数人の決裁者が存在します。商談に参加していない決裁者に対しても、URLひとつで事例を共有できるため、社内での合意形成が進みやすくなります。

導入後イメージを具体化

Before(導入前の課題)とAfter(導入後の変化)を映像で具体的に見せることで、見込み顧客は「自社で導入したらどうなるか」を想像しやすくなります。これが比較検討の後押しになります。

成果に直結する“構成の型”

動画の構成は、視聴者の心理変化に合わせて組み立てることが重要です。商談で効果を発揮する基本テンプレと、その見せ方を解説します。

基本テンプレ:課題→選定→効果

最も汎用性が高い構成は、以下の3ステップです。

構成ブロック質問例狙い(撮れ高)
1. 導入前の課題導入前はどのような課題を抱えていましたか?視聴者に「うちと同じ悩みだ」と共感させる
2. 選定の決め手他社と比較して、なぜ当社を選びましたか?差別化ポイントを第三者視点で語ってもらう
3. 導入後の効果導入後、何がどのように変わりましたか?成果と納得感を示し、意思決定を後押しする

数字が出せない時の組み立て方

顧客の社内規定などで「売上〇%アップ」といった数字が出せないケースもあります。その場合は、定性的な変化を“具体の行動”に落とし込みます。例として「残業が減り、提案資料の精度を上げる時間を確保できた」のように、変化が伝わるエピソードで補強します。

見せ方の役割分担(図解/Bロール/テロップ)

インタビュー映像だけが続くと単調になりやすいです。システム画面や現場の様子(Bロール)、業務フローを整理した図解、要点を強調するテロップを挟むことで、理解度と視聴維持が上がります。

刺さる発話を引き出す質問設計

「とても良かったです」で終わらせないためには、事前の質問設計が重要です。撮影当日の進行を楽にするためにも、質問は構造化して準備します。

質問は「数値・比較・具体例」の3セット

説得力のある発話を引き出すには、質問に方向性を持たせます。例として「どれくらい改善しましたか?(数値)」「以前と比べて何が違いますか?(比較)」「特に助かった場面を教えてください(具体例)」の3方向で設計します。

浅い回答を防ぐ深掘り

回答が短い場合に備え、「それはいつ頃の話ですか?」「どの部署・業務で起きましたか?」「導入の前後で何が一番変わりましたか?」のような追質問を準備します。深掘りの引き出しがあると、撮れ高の安定性が上がります。

事前共有(質問票・当日進行・開示NG)

顧客を不安にさせないため、撮影の1〜2週間前には質問票と当日の流れを共有します。また、話してはいけない情報(開示NG)を事前にすり合わせておくことで、現場での心理的な負担を減らし、本音を引き出しやすくなります。

顧客への出演依頼と許諾・機密対応

BtoBの事例動画において最大のハードルとなるのが「顧客への出演依頼」です。依頼の順番と、許諾・機密対応まで含めた進め方を整理します。

依頼の順番とメリット提示

まずは、自社サービスへの満足度が高く、日頃から関係性が構築できている顧客をリストアップします。依頼時は「貴社の先進的な取り組みを業界に発信できる」など、顧客側のメリットも明確に提示します。拘束時間の目安(例:撮影2〜3時間)を先に伝えると調整が進みやすくなります。

同意書と確認フローの整備

口約束ではなく、「動画の利用目的」「公開範囲」「肖像権の許諾」を明記した同意書を締結します。顧客側の法務・広報の確認に時間がかかる場合があるため、確認期限の目安(例:初稿提示後3営業日)を先に相談しておくと遅延を防げます。

開示NGと差し替えルール

「具体的な売上金額は伏せたい」「特定の他社名は出せない」といった要望には柔軟に対応します。例として「社名→業界名」「金額→レンジ表現」「固有名詞→機能カテゴリ」のように置換ルールを決め、編集段階でテロップ差し替えや該当箇所のカットができるように合意しておきます。

再利用設計(1本で終わらせない)

撮影素材を1本の動画だけで終わらせると、投資効率が下がります。初期段階から複数の用途を想定した「再利用設計」を行います。

用途別の最適仕様表

活用する媒体に合わせて、最適な尺や仕様を事前に決定します。

用途・媒体推奨尺画面比率字幕の要否
営業商談・資料2〜3分16:9(横型)要(要点のみ)
展示会ブース1分以内16:9(横型)必須(全編)※無音環境を想定
サービスLP2〜3分16:9(横型)
SNS(X/Facebook)15〜30秒1:1 または 9:16必須(全編)

※追加編集が必要な場合は、見積もりに含まれているか事前に制作会社へ確認してください。

公開後の運用と資産化(配置場所まで決める)

完成した動画は、公開して終わりにしません。例として、営業資料の「導入効果」ページにQRコードを配置する、初回商談の事前送付メールに「3分で見られます」と添えてURLを入れる、展示会後のお礼メールに短尺版を添付する、といった配置場所まで決めると運用が定着します。さらに、文字起こしを記事化し、LP内に埋め込むことで検索流入とCVの両方を狙えます。

発注前チェックリスト(担当者用)

制作会社への相談や、顧客への依頼をスムーズに進めるため、事前に以下の項目を整理しておくことを推奨します。

社内で決める項目

カテゴリチェック項目
目的・指標・動画の目的(商談化/資料請求など)
・効果指標(KPI:成果を測る指標)
ターゲット・誰に見せるか(役職/業種/導入フェーズ)
承認と期限・最終承認者は誰か
・初稿確認の期限(例:提出後2営業日以内)
再利用仕様・短尺版の有無(15〜30秒)
・縦型(9:16)
・字幕(要点/全編)
公開導線・LPの配置場所
・営業資料/メールでの使い方(QR/URL)

顧客依頼前の項目

カテゴリチェック項目
依頼文・目的と公開範囲
・拘束時間の目安(例:2〜3時間)
・顧客メリット(露出/信頼/採用転用など)
許諾・同意書フォーマット
・顧客側の確認フロー(広報/法務)
機密対応・開示NG情報の洗い出し
・差し替えルール(社名→業界名など)
進行・質問票の事前共有(1〜2週間前)
・当日の進行(開始〜終了の流れ)

※このリストが埋まっていると、制作会社からの提案精度と進行の確実性が上がります。

まとめ:顧客インタビュー動画で商談を前に進める

顧客インタビュー動画は、第三者のリアルな声で信頼を獲得し、BtoBの複雑な合意形成を後押しする営業の武器です。成果を出すためには、以下のポイントを押さえてください。

  • 「課題→選定→効果」の基本構成で、共感と納得を作る
  • 「数値・比較・具体例」を引き出す質問設計で、浅いコメントを防ぐ
  • 顧客の負担を最小化する依頼フローと、同意書による許諾管理を徹底する
  • LP・展示会・SNSなど、用途に合わせた再利用設計を初期段階で行う

株式会社caseでは、BtoBの商談プロセスを踏まえ、顧客の負担を抑えつつ説得力のある発話を引き出す顧客インタビュー動画の制作をサポートしています。企画から撮影、再利用の設計まで、お気軽にご相談ください。

情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
是非、下のボタンからお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

【株式会社case 代表取締役 / 動画制作プロデューサー】
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社にアカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。現在は本メディアの運営を通じた企業の動画制作支援や、動画制作会社の営業支援などを行う。

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