学生に響く新卒採用密着動画とは? |費用から制作期間まで完全解説

新卒採用の競争が激化する中、「学生の心を掴み、入社意欲を高める」ための新たな一手として、多くの企業が「密着動画」に注目しています。この記事では、数々の採用動画を制作してきたプロの視点から、企画、費用、スケジュール、成功のポイントまで、新卒採用向け密着動画の制作に関するすべてを徹底的に解説します。

目次

1. 新卒採用で「密着動画」が注目される理由

新卒採用市場が売り手市場となり、学生が企業を「選ぶ」時代において、いかに自社の魅力をリアルに伝え、入社後に働く姿を具体的にイメージしてもらえるかが採用成功の鍵を握ります。その中で、社員の日常にカメラを向け、ありのままの姿を映し出す「密着動画」が、多くの企業から注目を集めています。

特長詳細
圧倒的なリアル感と共感密着動画は、社員の1日の業務風景、チームでの会議、昼食の様子、そして仕事への想いを語るインタビューなど、テキストや写真だけでは伝わらない「リアルな日常」を届けます。
信頼性の高い情報の提供採用担当者からの説明だけでなく、実際に働く先輩社員の「生の声」は、学生にとって最も信頼できる情報源です。
高い汎用性と費用対効果一度制作した密着動画は、採用サイトや説明会での上映はもちろん、YouTubeやSNSでの情報発信、内定者フォロー、さらには大学でのキャリアガイダンスなど、さまざまなシーンで活用できます。短尺版を複数作成してSNSで展開するなど、ワンソース・マルチユースによって、採用活動全体の費用対効果を最大化することが可能です。また、あえてクローズドな説明会でのみ放映するなど特別感を醸成することも可能です。

2. 新卒採用密着動画の制作プロセス(7ステップ)

Worker build up word of process. Concept of business process.

学生の心を動かす密着動画は、緻密な計画と段取りを経て生まれます。ここでは、採用担当者が制作プロジェクトを進行するための実務的な7つのステップを解説します。

ステップ1:目的と目標の明確化

まず、「誰に、何を伝え、どんな行動を促したいのか」を明確にします。例えば、「挑戦できる社風を伝え、エントリーの質を高めたい」「地方学生にオンラインでも職場の雰囲気を伝え、説明会に参加してもらいたい」など、目標とゴールを具体的に設定することで、企画のブレを防げます。

ステップ2:出演者の選定

映像の顔となる出演者の選定は、最も重要なプロセスです。単に優秀なだけでなく、「学生が自分のロールモデルとして憧れられるか」「カメラの前で自然に、かつ熱意を持って語れるか」といった観点で慎重に選びます。

ステップ3:企画構成と撮影台本の作成

「1日の仕事の流れを追う」「特定のプロジェクトに寄り添う」「入社から成長までの軌跡を描く」など、ストーリーの型を決め、それに沿ってインタビューの質問項目や撮影シーンを具体的に記した撮影台本を作成します。

ステップ4:撮影許可と同意書の取得

特に、社内での撮影許可、顧客先での撮影許可、そして出演者本人からの「肖像権利用に関する同意書」の取得は必須です。これらの手続きには時間がかかる場合があるため、早めに準備しましょう。

ステップ5:ロケハンと撮影準備

撮影をスムーズに進めるため、事前に撮影場所を下見する「ロケハン」を行います。撮影場所の明るさ、騒音の状況、電源の確保、撮影スペースの広さなどを確認し、最適な撮影プランを立てます。

ステップ6:撮影実施(1〜2日間)

いよいよ撮影本番です。台本はあくまで指針として、現場の臨場感や自然な会話を大切に進行します。

ステップ7:編集・修正・納品

撮影した映像素材を、構成案に従って編集します。不要な部分をカットし、テロップやBGM、効果音などを加えて動画を完成させます。初稿が完了したら、関係者でレビューを行い、修正指示を出します。修正を経て、最終的に完成した動画を納品します。

3. 制作費用と期間の相場観

採用担当者にとって最も気になるのが、制作にかかる費用と期間ではないでしょうか。ここでは、数多くの密着動画の制作に携わった筆者がリアルな相場観を解説します。

費用相場:60万円〜150万円の内訳

新卒採用の密着動画の価格相場は、60万円〜150万円程度が一般的です。この価格差は、主に撮影日数、スタッフの人数、編集の工数や凝り具合によって生じます。

費用制作条件の目安
60万円撮影1日、スタッフはワンオペ、ナレーションなし、企画構成はシンプル。1日の仕事の流れを追うなど、ある程度決まった型での制作。
150万円撮影2日、スタッフは複数名、プロのナレーターを起用し、企画構成に十分な時間をかける。より深いメッセージを伝えるための凝った演出が可能。

より詳しい費用内訳やコスト削減のコツについては、こちらをご覧ください。

制作期間:標準6〜8週間、最短3週間の条件

企画開始から納品までの標準的な制作期間は、約1.5ヶ月〜2ヶ月(6〜8週間)が目安です。なお、出演者のスケジュール調整や社内外の承認プロセスがスムーズに進むことが前提です。

最短3週間程度での制作も可能ですが、そのためには「出演者のスケジュール即時確定」「撮影許可の事前取得」「承認者の集約(2名以内、48時間以内の承認)」など、いくつかの厳しい条件をクリアする必要があります。

詳細なスケジュール設計や短納期制作のポイントは、こちらの記事で解説しています。

費用や制作期間を抑えるポイント

限られた予算の中で最大限の効果を出すための工夫としては、下記が考えられます。

企画構成を自社で行う:動画の目的やストーリーを明確に策定することで、制作会社の工数を削減できます。

撮影日数を1日に絞る:移動時間を減らし、効率的な撮影スケジュールを組むことで、人件費や機材費を抑えられます。

出演者を1〜2名に抑える:出演者が増えるほど、スケジュール調整や撮影の工数が増加します。

4. 成功する密着動画の構成・演出のポイント

視聴者である学生の心を掴み、記憶に残る動画にするためには、ストーリーと演出が重要です。ここでは、数々の成功事例から導き出された、効果的な構成パターンと演出のテクニックを紹介します。

効果的な3つの構成パターン

構成パターン特長と効果
① 1日の流れ型朝の出社から退勤まで、社員の1日の業務を時系列で追う最も標準的な構成です。仕事の全体像やタイムスケジュールが具体的に理解でき、学生自身が働く姿を具体的にイメージしやすくなります。
② プロジェクト密着型特定のプロジェクトに焦点を当て、チームでの挑戦や困難を乗り越えていく過程を描きます。仕事のダイナミズムや、チームで働くことのやりがいを伝えたい場合に効果的です。
③ 成長ストーリー型入社1年目から3年目までの社員の成長の軌跡を、過去の映像や上司・先輩の証言を交えて描きます。入社後のキャリアパスや、成長できる環境があることを伝えたい場合に最適です。

学生に伝わる演出テクニック

冒頭30秒で惹きつける:最もドラマチックなシーンや印象的なカットを冒頭に配置し、視聴者の心をつかみます。

インタビューは「会話」で引き出す:用意した質問を読み上げるのではなく、自然な会話の中から本音や具体的なエピソードを引き出すことで、動画にリアルな熱量が生まれます。

BGMとテロップで感情を動かす:シーンの雰囲気に合ったBGMを選び、重要なメッセージには印象的なテロップを入れるなど、映像・音・文字を適切に用いることで、視聴者の感情を揺さぶります。

よくある失敗例と回避策

「言わされている感」が出てしまう:出演者にセリフを丸暗記させると不自然な印象を与えます。キーワードだけを共有し、自分の言葉で語ってもらいましょう。

良い面ばかりを見せすぎる:仕事のやりがいだけでなく、大変なことや苦労した経験も率直に話すことで、企業の実像が伝わり、信頼感が高まります。

より詳細な制作のポイントや失敗回避策については、こちらの記事で解説しています。

5. 密着動画の活用シーン

制作した密着動画は、さまざまな採用シーンで活用することで、その効果を最大化できます。

  • 採用説明会での活用:説明会の冒頭や中盤で上映することで、学生の心を一気に掴み、その後の企業説明への興味・関心を高めます。
  • 採用サイト・SNSでの展開:採用サイトのトップページや、YouTube、Twitter、Instagramなどで公開することで、幅広い学生にアプローチできます。
  • 内定者フォローでの活用:内定者限定で、より詳細な業務内容や、異なる部署の従業員に密着した動画を公開することで、入社意欲を高め、内定辞退を抑制します。
  • 短尺版の作成と横展開:10分程度の本編とは別に、30秒〜1分程度の短尺版を複数作成し、SNS広告などで配信することで、効率的に潜在層へアプローチできます。

6. 業界別導入事例の紹介

ここでは、さまざまな業界で制作された新卒採用向け密着動画の事例を紹介します。

商社の事例

女性若手社員の1日に密着し、職場の雰囲気やチームでの協業の様子をリアルに伝えます。

物流企業の事例

数多くのスタッフを束ねる、物流拠点の責任者としての仕事の厳しさややりがいを訴求しています。

機械メーカーの事例

まだまだ数が少ない女性設計者としての「働きやすさ」に触れながら、1日の仕事の流れを紹介しています。

メーカー・営業職の事例

お客様先への訪問シーンなども交えながら仕事への取り組み方や後輩社員からの印象など、営業職の仕事を多角的に表現しています。

各動画の詳細な解説はこちらをご覧ください。

7. FAQ|新卒採用密着動画に関するよくある質問

密着動画の制作期間はどれくらいですか?

企画開始から納品まで、約1.5ヶ月〜2ヶ月が一般的な目安です。なお、出演者のスケジュール調整や社内外の承認プロセスによって変動するため、余裕を持った計画が重要です。

密着動画の費用相場はどれくらいですか?

撮影日数や編集の凝り具合によりますが、60万円〜150万円程度がボリュームゾーンです。シンプルな構成であればコストを抑えられ、複数日撮影や凝った演出を加えると高くなる傾向があります。

密着動画にはどのような社員に出演してもらうのが効果的ですか?

学生が自分の将来像を重ねられる、入社3〜5年目の若手〜中堅社員が最適です。活躍していることはもちろん、カメラの前で自然に、かつ熱意を持って語れる人柄も重要です。

密着動画では、地方や海外勤務の様子も伝えられますか?

はい、可能です。地方の支社や海外の拠点に赴いて撮影することで、多様な働き方やグローバルなキャリアパスを魅力的に伝えることができます。

8. まとめ:効果的な密着動画で採用成功を実現する

この記事では、新卒採用における密着動画の制作について、そのメリットから具体的な制作プロセス、費用相場、成功のポイントまでを徹底的に解説しました。

重要なのは、制作すること自体を目的とせず、明確な採用戦略のもとで、学生の心に響くストーリーを設計し、戦略的に活用することです。この記事が、貴社の採用活動を成功に導く一助となれば幸いです。

「自社に合った密着動画の企画が知りたい」「具体的な費用やスケジュールについて相談したい」といったご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。数々の採用動画を制作してきた専門のコンサルタントが、無料でご相談に応じます。

情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
是非、下のボタンからお気軽にお問い合わせください。

密着動画の制作のご相談はこちらからでもお受けできます。

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この記事を書いた人

【株式会社case 代表取締役 / 動画制作プロデューサー】
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社にアカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。現在は本メディアの運営を通じた企業の動画制作支援や、動画制作会社の営業支援などを行う。

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