動画制作会社の選び方｜初めて外注する人が押さえるべきポイント

動画制作会社を選ぶ際、慣れていないと「どこを基準に選べば良いのかわからない」ということがありませんか？

「どの会社が自社に合っているのか」「費用やスケジュールはどう考えればいいのか」「どんなトラブルが起こりうるのか」といった疑問を抱える方は少なくありません。特に初めて外注する場合、選定を誤ると、思わぬコストや手間がかかってしまうこともあります。

適切な制作会社を選ぶことは、動画制作の成功において最も重要な要素の一つです。一度失敗してしまうと、後から取り戻すのが難しいため、慎重に進める必要があります。

そこで本記事では、初めて動画制作を外注する方や、過去に外注でうまくいかなかった方に向けて、失敗を防ぐためのポイントをわかりやすく解説します。制作会社選びの基準、予算の考え方、トラブルを防ぐ方法、そして選定時に見落としがちなチェック項目について、順を追って説明していきます。

この記事を読めば、動画制作の不安や疑問が解消され、自信を持って最適な制作会社を選べるようになるはずです。ぜひ最後までお読みください。

筆者のプロフィール

まず、この記事を読んでいただくにあたって「誰が何を書いているのか？」も非常に重要な要素になると思いますので、簡単に私のプロフィールをまとめています。

動画制作会社（予算数十万円〜数百万円）での営業兼プロデューサーとしての役割を中心に、広告代理店（予算数百万円〜数千万円）でのアカウント（クライアントと社内クリエイティブチームの窓口、PM業務を担当する役割

なども経験しているため、比較的高い説得力で本記事をお届けできるのではないかと考えています。

動画制作会社を選ぶ上での最重要ポイント

筆者がこれまで複数の制作会社や広告代理店で仕事をしてきた経験からお伝えできるのは、「担当者との相性や担当者の力量が最も重要である」ということです。

動画を作るのはクリエイターだから、クリエイターの力量が重要では…？とお考えになる方もいらっしゃると思います。もちろん、それは間違っていません。

私が「担当者との相性や力量」を重要視するのは下記が理由です。

• プロジェクト期間中のコミュニケーション頻度・濃度が高くなる
• 担当者の力量が、クリエイター選定やクリエイティブの精度に直結する

1つずつ詳しく説明します。

1：プロジェクト期間中のコミュニケーション頻度・濃度が高くなる

動画制作がスタートすると、担当者とのコミュニケーションの量が一気に増えます。制作内容について、スケジュールについて、撮影や編集についてなどなど基本的な業務は制作会社側で進めるものの、最終的な確認・意思決定は発注側の役割であるためです。

しかし、担当者との相性が悪いとこのコミュニケーションに大きなストレスを抱えることになります。「レスが遅い」「質問に的確に答えてくれない」「単純に相性が悪い」などの理由で動画制作が進行する2−3ヶ月間やり取りを続けることを想像してみると、よくわかるのではないでしょうか。

また、コミュニケーションにストレスを抱えてしまうと、小さな齟齬が重なり取り返しのつかない大きなミスに繋がることもあります。

このような事態をさけるためにも、少なくとも

• 商談中のコミュニケーションに問題（ストレス）がないか
• こちらの状況や意図を把握するよう努めてくれているか
• 疑問や質問に快く、的確に回答してくれるか

などは、しっかりと確認しておくことを強くおすすめします。

2：担当者の力量が、クリエイター選定やクリエイティブの精度に直結する

制作会社へ正式に発注すると、概ね下記のような流れでクリエイターがアサインされます。

• 営業などの窓口となる担当者が、発注側との商談でヒアリングを行い情報をキャッチアップする
• その情報をもとに社内の制作チームと制作体制を検討し、見積書や提案の準備を進める
• 正式に発注をもらい次第、クリエイターをアサインして制作スタート

お分かり頂けたと思いますが、商談を担当する営業・プロデューサーがしっかりと情報をキャッチアップできなければ、最適なクリエイターをアサインすることはできません。

また、その担当者がその制作会社内で「一定の信頼」を獲得できていなければ、どうしてもその制作会社の中での優先度は下がってしまい、優秀なクリエイターは優秀な担当の案件に回されてしまいます。

つまり、目の前の担当者が優秀であるか、実力があるかどうかで、アサインされるクリエイターの力量は大きく左右されてしまうのです。

更に、正確にヒアリングし動画としてのあるべき姿を導き出すのも営業やプロデューサーの仕事であり、それがクリエティブの精度に直結するのです。

クリエイターリソースは共有されている

すべての制作会社で…というわけではありませんが、動画制作会社の中には「フリーランスクリエイターをネットワークすることで制作リソースを確保している」というスタイルの会社が多くあります。弊社もその1つです。

そして、フリーランスクリエイターというのは「特定の制作会社の案件しか請けない」ということではなく「どの制作会社の案件も受けることができる」のです。

つまり、クリエイターリソースは基本的にはすべての制作会社で共有されていて、正式に受注した制作会社がそのリソースの中から最適なクリエイターをアサインするというのが大きく見たときの業界構造となっています。

だからこそ、先ほどの説明の通り担当者の力量こそが重要であり最も違いが出るポイントだと言えます。

動画制作会社を選ぶステップとポイント

最初に最も重要な結論をお伝えしましたが、ここからは動画制作会社を選ぶステップの順番に沿って説明します。まずどのようなステップがあるかというと、

• 問い合わせる前に
• 問い合わせる制作会社を選ぶ
• 商談を行う
• 提案・見積りを比較する

という大きく4つのステップがあります。それぞれのステップで重要なポイントを解説します。

1：問い合わせる前に情報を整理する。

初めての場合、まずは制作会社に問い合わせてみようということで、制作会社を探すことからスタートされるかもしれませんが、まずはしっかりと「情報整理」することをおすすめします。

「情報整理」とはいわゆる5W1Hで動画を制作する「背景」「目的」「納期」「予算」「視聴ターゲット」などなどを決めることです。

予算については、相場がわからないとなんとも…というケースもあると思いますが、それでも

「100万円くらいまでなら検討できそうだけど300万とかになると現実的ではない」

など、自社の予算の状況などによって「なんとなくこれくらいなら」というラインはあるのではないでしょうか。まずはそれでも良いので制作会社にはしっかりと伝えることをおすすめします。

また、整理した情報については、できればドキュメントなどにまとめて問い合わせる際に制作会社に送ってしまうのが効果的です。複数社と商談を行うことになるため、何度も同じ説明をせずに済みますし、定型的なヒアリングではなくより本質的な議論に時間を活用することができます。

2：問い合わせる制作会社を選ぶ

「動画制作会社」「動画制作会社　おすすめ」などのキーワードで検索すると数多くの制作会社がヒットしたり、数十社もおすすめされている記事が出てきたりして選ぶのも大変ですよね…。

制作会社に問い合わせる目的はその後の商談を通して提案や見積りをもらうことです。そう考えると、この問い合わせの段階でしっかりと選ぶというよりはある程度の基準で選び、商談でイマイチであれば別の会社に再度問い合わせれば良い、くらいに考えるほうがスムーズです。

ではどのような基準で選ぶかというと

• 「動画制作会社」と検索して1−2ページ目にでてくる会社を1−2社
• 「〇〇動画　制作」など、検索したい動画の種類で検索して1−2ページに出てくる会社を1−2社
• 「〇〇　動画制作会社」など、求める要素をキーワードに含んで検索して1−2ページに出てくる会社を1−2社

…という感じで検索して選んで頂くと良いと思います。

まず、①ですが、ここで出てくる会社は「豊富な実績」「オールジャンル対応」「相場より安い」などをうたっていることが多く、大外れする可能性が低いです。

②は「インタビュー動画」「ドキュメンタリー動画」「サービス紹介動画」など今回制作する動画の種類を入れて検索してみるという趣旨になります。結果として①とあまり変わらない顔ぶれになる可能性も高いですが、やってみて損はありません。

③は例えば「信頼できる」「初めての動画制作」などの少しトリッキーなキーワードを入れてみるという趣旨です。これは少し業界的な話になりますが、検索して上位表示される会社はどの会社も、上位表示させるために「SEO対策」「コンテンツマーケティング」に取り組んでいます。そのため、「みんなが検索しそうなキーワード」で検索するとあまり顔ぶれが変わらないのです。なので、①②とは違う会社も候補に入れたい場合には少しトリッキー（あまり他の人が検索しなそうな）キーワードで検索すると少し変わった会社を見つけられる可能性が高まります。

3：商談を行う

商談では、冒頭で解説した通り「担当者との相性」「担当者の力量」を見極めることを意識しましょう。

具体的には、

• 質問に対して、「持ち帰る」ではなくその場で明確・的確・わかりやすく回答してくれるか
• 「会社」ではなく自分の実績を語ることができるか
• ヒアリングを通して、新しい気づきを与えてくれるか

この3点を意識してみてください。

逆に、

• 定型的な質問に終始して、一問一答でヒアリングが完了する
• 会社紹介が冗長
• その担当者から役に立ちそうな情報や気づきを得られない

このあたりに当てはまる場合は要注意です。会社としての実績は豊富でも、担当者としてはまだまだ経験が浅い可能性があります。

4：提案・見積りを比較する

商談時の期待値と提案や見積りの精度は、おそらく大きくは乖離しないはずです。優秀な担当者であれば、お客様にとって最適な動画のありかたや検討可能な予算などはしっかりとキャッチアップできているからです。

では、ここではどのようなポイントを見るべきでしょうか。筆者は大きく下記の2点を見極めるべきだと考えます。

• 提案の内容は「本質」を捉えているか
• 制作条件は揃っているか

1：提案の内容は「本質」を捉えているか

ここで重要なのは冷静に「この提案は本質的であるか」という視点をもって判断することです。

営業体制の整った制作会社であればあるほど、提案書・企画書の「体裁」も整っていることが多いです。

しかし、それ以上に大事なのは中身です。

例えば、なんらかのサービスを紹介する動画を制作する際に、提案書の中で「競合分析」「市場分析」がされていたとして「貴社のサービスはこのマトリクス上のここに位置するので、こういう表現の方がいいと思います」という提案を受けたとします。

確かに、言っていることは間違っていないかもしれませんが「そもそも視聴者は他社サービスとの違いを気にしているか、理解できるか」という視点が重要です。

これは「動画にどんな役割を期待するのか」にもよりますが、今回例にあげた「サービス紹介」を動画で行う場合、その視聴ターゲットは往々にして「あまりそのサービスや業界に詳しくない人」、いわゆるリテラシーが低い人です。

リテラシーが高い人は基本的には「サービス紹介動画」をみて意思決定や態度変容を起こしません。なぜなら、テキストで必要な情報をピックアップするほうが効率的だからです。

例えば、あなたが「動画コンテンツを楽しみたい」と考えているとして、Netfrix、Amazon Prime、U-NEXT、AbemaTVなどの動画配信サービスを比較検討するとします。その際に、それぞれのサービスの紹介動画を見ようと思うでしょうか。おそらく「この映画が見たいから、それが配信されてるサービス」「オリジナルコンテンツや海外ドラマ」などより目的にマッチするかどうかをピンポイントで探すでしょう。

それと同じで、一定のリテラシーのある人はそもそも「サービス紹介動画」を見ないし、「サービス紹介動画」を見る人は細かい違いがまだその時点ではわからない可能性が高いのです。

以上のようなことを考えると提案書・企画書の「分析」がどれほど精度が高く・手が込んでいるように見えても「やってる感」の演出にすぎない可能性があります。

「分析」のすべてがそうであるということでは決してありませんが、例えば「分析」されているからと言って「ものすごく丁寧に提案してくれた」という感覚で選んでしまうのは避けるべきです。

冷静に「この提案は本質的であるか」という視点をもって判断することをおすすめします。

2：制作条件は揃っているか

提案書とともに、見積書をもらうことになりますがその見積書の根拠となる「制作条件」に乖離がないかをしっかりと確認しましょう。具体的には、

・撮影日数
・天気予備の有無（屋外での撮影の場合）
・ロケーションやキャストの手配について
・照明の有無

などです。

もし、見積書の金額に大きな差がある場合にはもしかするとこのあたりの条件に差があるかもしれません。また、見積書の金額が概ね同じくらいだとしても条件に差があれば、それは実質的に金額に差があるのと同意です。

慣れてないと少しわかりにくいかもしれませんが、重要なポイントなのでしっかりと見比べてわからないこと、疑問、不安などがあれば遠慮なく担当者に質問して解決しましょう。

動画制作の流れ

正式な発注が完了すると、キックオフミーティングから制作がスタートします。細かく説明すると非常に長くなってしますため、本記事では簡易的に下記の画像での説明とします。

各ステップについて詳しく説明した記事もご紹介していますので、気になる方はこちらもご参考ください。

動画制作の外注を失敗しないための、4つのポイント

ここでは失敗しないために重要な4つのポイントをご紹介します。すでに説明した内容も含まれますが、最後のまとめだと思っていただければと思います。

最適な制作会社を選ぶ

当たり前といえば当たり前ですが、やはり重要なポイントです。

ここでお伝えしたいのは、「信頼できる営業を選ぶ」ということです。

筆者が動画制作に携わり始めた10年ほど前とくらべると動画制作会社は格段に増えました。そしてどの会社も甲乙つけがたいほど豊富な制作実績を持っています。（弊社はまだ会社としての実績は少ないですが…）

その中で何をポイントに選ぶか？最重要ポイントが冒頭でも触れた通りの「信頼できる営業担当者を選ぶ」という視点です。

詳しくは下記の記事にまとめていますが、端的にお伝えすると、

• 優秀な営業担当は、優秀なプロデューサー、優秀なクリエイターをアサインできる
• 優秀な営業担当は、無用なトラブルを避けてくれる
• 優秀な営業担当は、コミュニケーションがスムーズ

という3点です。「絶対この会社がいい！」と思える会社が見つからず悩むことがあればぜひ参考にしてみてください。

そしてもし悩むようであれば、ぜひ筆者にもご相談ください。

スケジュールに余裕を持つ

基本的なことではありますが、何らかの理由で急いで制作を進めなければならないケースもあります。そのような場合、

• 人的なリソースを確保するために通常スケジュールでの進行よりもお金がかかる
• 急ぐ分、準備・確認に通常より時間を割くことができず何らかのトラブルが起きる可能性が高くなる

…というリスクがあります。

会社によっては、短納期でも費用を抑えて制作してくれる会社もあるかもしれませんがそれでもスケジュールを短縮するということは、どこかでなにかを犠牲にせざるを得ません。

もちろん、通常スケジュールよりもトラブルが起きる可能性が高まるというだけで、「必ずトラブルになる」「失敗する」わけではありません。制作に慣れているプロが進行する以上、トラブルの種は極力排除し最大限問題なく進行できるよう尽力することは間違いありません。

ただ、それでも想定外のトラブルに見舞われることもあるのが動画をはじめ、クリエイティブ制作の現場です。

だからこそ、できる限りスケジュールには余裕を持つことを強くおすすめします。

完成イメージをできるだけ具体的にする

いざ、動画制作をスタートする際には制作会社側からどのような動画が完成する予定であるかは絵コンテやシナリオなどの資料を用いて説明があるはずです。

動画制作に慣れていれば、そのような資料で具体的なイメージを持つことができますが、初めての場合にはそれでもイメージが難しいこともあるでしょう。

そのような場合には、遠慮なく制作会社側に質問してイメージの具体化に努めましょう。

制作過程で完成イメージの認識の相違などのズレが生じてしまうと、軌道修正には時間とコストがかかってしまいます。

社内調整を怠らない

発注側の企業の担当者の方の役割の1つが、自社内のステークホルダーとの共通認識の形成です。

• こんな目的でこんな動画を制作します。
• これが完成イメージです。
• いつころ完成良い体です。
• このタイミングでシナリオや動画を確認して、いつまでにフィードバックしなければなりません

…などなど、動画制作の背景や前提、クリエイティブイメージ、スケジュールなどについて関係者としっかりと「握る」ことができていないと、後になって「どんでん返し」が起きることは珍しいことではありません。

特に、動画制作について最終的なOKを出せる決裁権者とのすり合わせは重要です。

動画制作はcaseへご相談ください。

とても長くなりましたが、ここまでお読み頂きありがとうございます。

もし、この記事を読んで「いいな」と思えたらぜひ弊社へ動画制作についてご相談ください。