企業のYouTubeやWebサイトでの動画活用が活発になる中、プロモーションツールの一環として「導入事例動画」を制作する企業が増えています。
導入事例動画は、テキストベースのインタビュー記事やホワイトペーパーとは異なり、実際の顧客が自社製品・サービスについて語ることで、視聴者の信頼を得やすいのが特徴です。
しかし、単に顧客にインタビューをすれば良いわけではなく、効果的な導入事例動画を制作するにはいくつかの重要なポイントがあります。本記事では、導入事例動画の制作で失敗しないためのコツと注意点を、動画制作のプロの視点から解説します。
筆者のプロフィール
まず、この記事を読んでいただくにあたって「誰が何を書いているのか?」も非常に重要な要素になると思いますので、簡単に私のプロフィールをまとめています。

【株式会社case 代表取締役/動画制作プロデューサー:加藤智史】
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社にアカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。現在は本メディアの運営を通じた企業動画の受託制作や、動画制作会社の営業支援などを行う。
動画制作会社(予算数十万円〜数百万円)での営業兼プロデューサーとしての役割を中心に、広告代理店(予算数百万円〜数千万円)でのアカウント(クライアントと社内クリエイティブチームの窓口、PM業務を担当する役割)なども経験しているため、比較的高い説得力で本記事をお届けできるのではないかと考えています。
よくあるQ&A
- 導入事例インタビュー動画の制作費はどれくらい必要?
-
制作体制や内容によって大きく変動しますが、50万円〜程度のご予算から制作可能です。
- 導入事例インタビュー動画の製作期間はどれくらい?
-
約1ヶ月ほどを想定しておくと、無理のないスケジュールだと言えます。
導入事例動画とは?
導入事例動画とは、企業が提供する商品・サービスを導入した顧客の声をインタビュー形式で紹介する動画です。主に以下のような目的で活用されます。
- 営業ツールとしての活用:商談時に見込み顧客へ提示し、信頼性を向上させる
- マーケティング施策の一環:WebサイトやSNSでの拡散を通じて新規リードを獲得
- ブランディング強化:実際の顧客のリアルな声を届けることで、企業の価値を伝える
導入事例動画を活用することで、企業の訴求力を強化し、成約率向上や認知拡大に大きく貢献します。
制作のポイント
導入事例の動画の制作は、動画制作の中でも比較的シンプルなものではありますが、出演いただくのが「お客様のお客様」であるという少し特殊な動画でもあります。更に「インタビュー動画」であることがほとんどであることも特徴の1つです。
その点を踏まえて、絶対に外せないポイントを解説します。
- 出演いただくお客様の選定
- 台本は用意しない
- インタビューは発注側で行う
- 顧客に負担をかけない
1つずつ解説します。
①出演いただくお客様の選定
多くの企業が「できるだけ有名な会社を出演させたい」と考えがちですが、導入事例動画では話し方や熱量が重要です。以下のポイントを重視して選びましょう。
- 話すのが苦手でないか
- カメラの前でも緊張しすぎないか
- 熱意を持って語れるエピソードがあるか
出演者の語り口や熱量がそのまま視聴者に伝わるため、単にネームバリューで選ぶのではなく、話しやすさを重視することが重要です。
②台本は用意しない
インタビュー動画では、台本を用意すると不自然な仕上がりになることが多いです。出演者が台本を読んでいると、視聴者にも「わざとらしい」と感じられてしまいます。
そのため、
- 話す内容の大枠だけ決めておく
- 事前に出演者に伝えておくべき要点をまとめる
- インタビュー時には自然な会話の流れを意識する
といった工夫を行うことで、よりリアルで説得力のある動画になります。
一方で、お客様に全面協力頂ける場合には、台本を用意した上でリハーサルを繰り返し、自然に話せるように準備をした上で撮影を行うことも可能です。
③インタビューは発注側で行う
意外に思われるかもしれませんが、インタビューは制作会社ではなく、発注企業の担当者が行うのがおすすめです。
その理由は、
- 知っている人の方がリラックスして話せる
- 業界特有の専門用語を理解しているため、スムーズな進行が可能
- より本音を引き出しやすい
制作会社側は、映像のクオリティを管理しながら足りない部分を補足する質問をする役割を担うのが理想的です。
ポイントとしては、「一問一答」にならないようにすることです。意外にも質問する側もカメラが回り始めると緊張してしまい、一問一答のようになってしまうことは少なくありません。
あくまでも、自社製品やサービスを利用して感じたことをヒアリングするような形で、自然な形で深堀りしていくことを意識しましょう。
④顧客に負担をかけない
導入事例動画は、顧客の協力なしには成り立ちません。出演いただく企業に対して、最小限の負担で撮影できるように配慮することが大切です。
特に、事前に以下の確認事項をまとめておくことで、スムーズな進行が可能になります。
- 撮影スケジュールの調整
- 服装や撮影場所の指定
- ロケハンの有無
- インタビュー内容の大まかな共有
企業の信頼関係を維持しつつ、スムーズに撮影を進めるためにも、事前準備を徹底しましょう。
導入事例動画制作のメリット
導入事例動画は、単なるマーケティングツールとしてだけでなく、営業活動の強化にもつながります。
特に、
- 顧客との関係強化
- インタビューを通じた新たなビジネスチャンスの発掘
といった効果が期待できます。
撮影の場では、普段の商談とは異なるカジュアルな雰囲気で話ができるため、新たな提案のきっかけになることも少なくありません。営業担当者が同行することで、さらなる関係強化につなげることができます。
導入事例動画の厳選事例
kintone導入事例インタビュー 台湾TOTO様
Sansan様事例動画
ビズリーチ(HRMOS)導入事例|Gainsight
【お客様事例】JTB:観光業界 | Salesforce
ナレッジワーク導入事例インタビュー |リコージャパン株式会社様事例動画
【インタビュー映像】ダイキン工業株式会社さま:キヤノンMRシステム「MREAL」導入事例【キヤノン公式】
動画制作の外注に失敗しないための4つのポイント
動画制作を外注した経験のある人の中には、なんらかの理由で「失敗した」「上手くいかなかった」と感じている方がいます。筆者もお客様からそのような相談を受けたことが何度かあります。
詳細は下記の記事にまとめていますが、ここでは失敗しないために重要な4つのポイントをご紹介します。

適切な制作会社を選ぶ
もちろん発注側としてもそれを強く望んでいると思いますが、
ここで端的にお伝えしたいのは、「信頼できる営業担当者を選ぶ」という視点をもってみることです。
筆者が動画制作に携わり始めた10年ほど前とくらべると動画制作会社は格段に増えました。そしてどの会社も甲乙つけがたいほど豊富な制作実績を持っています。(弊社はまだ会社としての実績は少ないですが…)
その中で何をポイントに選ぶか?の1つのポイントが上記の「信頼できる営業担当者を選ぶ」という視点です。
詳しくは下記の記事にまとめていますが、端的にお伝えすると、

- 優秀な営業担当は、優秀なプロデューサー、優秀なクリエイターをアサインできる
- 優秀な営業担当は、無用なトラブルを避けてくれる
- 優秀な営業担当は、コミュニケーションがスムーズ
という3点です。「絶対この会社がいい!」と思える会社が見つからず悩むことがあればぜひ参考にしてみてください。
そしてもし悩むようであれば、ぜひ筆者にもご相談ください。
スケジュールに余裕を持つ

基本的なことではありますが、何らかの理由で急いで制作を進めなければならないケースもあります。そのような場合、
- 人的なリソースを確保するために通常スケジュールでの進行よりもお金がかかる
- 急ぐ分、準備・確認に通常より時間を割くことができず何らかのトラブルが起きる可能性が高くなる
…というリスクがあります。
会社によっては、短納期でも費用を抑えて制作してくれる会社もあるかもしれませんがそれでもスケジュールを短縮するということは、どこかでなにかを犠牲にせざるを得ません。
もちろん、通常スケジュールよりもトラブルが起きる可能性が高まるというだけで、「必ずトラブルになる」「失敗する」わけではありません。制作に慣れているプロが進行する以上、トラブルの種は極力排除し最大限問題なく進行できるよう尽力することは間違いありません。
ただ、それでも想定外のトラブルに見舞われることもあるのが動画をはじめ、クリエイティブ制作の現場です。
だからこそ、できる限りスケジュールには余裕を持つことを強くおすすめします。
制作内容によって変動しますが、採用動画であれば、最低2ヶ月。できれば3ヶ月ほど制作スケジュールが確保できると良いでしょう。
上記はあくまでも「制作期間」なので、制作会社を選んだり正式に発注するまでのリードタイムがどれくらい必要になるかについては、自社の稟議や予算申請のフローについて事前に把握しておく必要があります。
完成イメージをできるだけ具体的にする
いざ、動画制作をスタートする際には制作会社側からどのような動画が完成する予定であるかは絵コンテやシナリオなどの資料を用いて説明があるはずです。
動画制作に慣れていれば、そのような資料で具体的なイメージを持つことができますが、初めての場合にはそれでもイメージが難しいこともあるでしょう。
そのような場合には、遠慮なく制作会社側に質問してイメージの具体化に努めましょう。
制作過程で完成イメージの認識の相違などのズレが生じてしまうと、軌道修正には時間とコストがかかってしまいます。
社内調整を怠らない
発注側の企業の担当者の方の役割の1つが、自社内のステークホルダーとの共通認識の形成です。
- こんな目的でこんな動画を制作します。
- これが完成イメージです。
- いつころ完成予定です。
- このタイミングでシナリオや動画を確認して、いつまでにフィードバックしなければなりません
…などなど、動画制作の背景や前提、クリエイティブイメージ、スケジュールなどについて関係者としっかりと「握る」ことができていないと、後になって「どんでん返し」が起きることは珍しいことではありません。
特に、動画制作について最終的なOKを出せる決裁権者とのすり合わせは重要です。
最後に
導入事例動画は、企業の信頼性を高め、営業・マーケティングにおいて強力なツールとなります。しかし、制作のプロセスを誤ると、効果が半減してしまう可能性があります。
本記事で紹介した「失敗しないためのポイント」を押さえ、効果的な導入事例動画を制作しましょう。
情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
是非、下のボタンからお気軽にお問い合わせください。