「展示会で効果的な動画を制作したいが、費用はいくらかかるのか」「制作期間はどの程度必要なのか」「どのような点に注意すべきなのか」――。展示会動画の制作を検討する担当者様にとって、これらは避けて通れない重要な課題です。
この記事では、展示会動画制作における費用相場から制作スケジュール、成功のポイントまで、実務に必要な情報を体系的に解説します。
要点(結論)
- 費用相場:モーショングラフィックス中心で300,000~700,000円、実写撮影込みで600,000~1,200,000円が目安です。
- 期間:標準8週間、短納期4週間、特急2週間のモデルがあり、品質と料金のバランスを考慮した適切な選択が重要です。
- 制作ポイント:ブース環境(無音・ループ再生)、視認性の確保、既存アセットの活用が成功の鍵となります。
展示会動画の料金相場

展示会動画の料金は、表現スタイルと動画の長さによって大きく変動します。以下は2025年現在の一般的な料金体系です。
表現スタイル | 15秒 | 60秒 | 120秒〜 |
---|---|---|---|
モーショングラフィックス中心 | 200,000~500,000円 | 300,000~700,000円 | 800,000~1,500,000円 |
実写あり | 400,000~800,000円 | 600,000~1,200,000円 | 800,000~1,800,000円 |
3DCG・シミュレーション | 上記に+300,000~2,000,000円(目安) |
費用内訳と計算ロジック
動画制作費用は、以下の要素で構成されます。
総額 = 進行管理費+企画構成費 +ディレクション費 + 編集費 + オプション費 +etc
項目 | 内容 | 金額目安 |
---|---|---|
進行管理費 | 予算・スケジュール・クオリティなどプロジェクトの進行管理 | |
企画構成費 | 目的設定、構成案、絵コンテ | 80,000~200,000円 |
ディレクション費 | 企画通りに制作するための監督業務 | 50,000~150,000円 |
撮影費(1日) | カメラマン、照明、音声 | 250,000~500,000円 |
編集費 | カット編集、テロップ、BGM | 80,000~200,000円 |
モーショングラフィックス費 | アニメーション制作 | 150,000~400,000円 |
ナレーション費 | 収録、編集 | 30,000~80,000円 |
見積もりサンプル
パターンA:シンプル動画(60秒・モーショングラフィックス)
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
企画構成費 | 100,000円 | 基本構成 |
ディレクション費 | 80,000円 | 進行管理 |
モーショングラフィックス制作 | 250,000円 | 30秒分 |
進行管理費 | 50,000円 | 予算・スケジュール・クオリティなどプロジェクトの進行管理 |
合計 | 480,000円 |
パターンB:実写組み込み動画(60秒・撮影1日)
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
企画構成費 | 150,000円 | 撮影組み込み構成 |
ディレクション費 | 120,000円 | 撮影進行含む |
撮影費 | 350,000円 | 1日・機材込み |
編集費 | 180,000円 | 実写編集 |
モーショングラフィックス制作 | 150,000円 | 補助的な使用 |
進行管理費 | 150,000円 | 予算・スケジュール・クオリティなどプロジェクトの進行管理 |
合計 | 1,100,000円 |
展示会向け動画制作の費用についての詳しい解説はこちらの記事をお読みください。

制作スケジュール

展示会動画の制作期間は、品質要件とコストの両面から決まります。以下は代表的な3つのモデルです。
モデル | 期間 | 特徴 | 追加費用 |
---|---|---|---|
標準モデル | 8週間 | 十分な検討・修正時間を確保 | なし |
短納期モデル | 4週間 | 効率的な進行、修正回数を制限 | +10~20% |
特急モデル | 2週間 | 工程を圧縮、リスクが高い | +30~50% |
標準8週間モデルの工程表
週 | 工程 | 主な作業内容 |
---|---|---|
1~2週目 | 企画・準備 | ヒアリング、構成案作成、素材収集 |
3~4週目 | 制作準備 | 絵コンテ作成、撮影準備(必要に応じて) |
5~6週目 | 制作実行 | 撮影、編集、モーショングラフィックス制作 |
7週目 | レビュー・修正 | 初稿レビュー、修正作業 |
8週目 | 最終調整・納品 | 最終確認、データ納品 |
展示会向け動画の制作期間/スケジュールについての詳しい解説はこちらの記事をお読みください。

展示会向け動画の制作のポイント

ブース環境への対応
- 無音設計:展示会場では音声が聞こえない前提のため、視覚的な訴求力を重視した構成にします。
- ループ再生:滑らかなループ再生を前提に、冒頭と末尾のつながりを設計します。
- アスペクト比:設置予定のモニター仕様に合わせて最適な比率を選択します。
視認性の確保
- 大きなテロップ:遠くからでも読めるサイズと色彩設計にします。
- シンプルな構成:短時間で理解できる明快なメッセージ構造にします。
- 動きの活用:静止画では得られない注目効果を高めます。
既存アセットの活用
- ブランドガイドライン:自社のロゴ・カラー・フォントを活用し、統一感を保ちます。
- 製品写真・動画:過去の撮影素材を流用し、制作費と期間を抑制します。
- パンフレット素材:印刷物のデザイン要素を動画に転用します。
展示会向け動画制作のポイントについての詳しい解説はこちらの記事をお読みください。

追加費用が発生しやすい項目
- 修正回数の超過:契約で定めた回数を超える修正依頼
- 仕様変更:制作開始後の尺やアスペクト比の変更
- 素材の追加・差し替え:制作途中での素材変更
- 短納期対応:通常スケジュールより短い納期での依頼
- 権利範囲の拡大:当初契約を超える利用範囲での使用
- 撮影の延長:予定時間を超える撮影作業
品質を落とさずコストを抑えるための基本
事前準備の徹底
- 目的の明確化:動画で達成したい具体的な目標を設定します。
- 素材の事前準備:ロゴデータ、製品写真、既存の動画などを整理して提供します。
- 構成案の検討:伝えたいメッセージの優先順位を事前に決定します。
効率的な進行管理
- 窓口の一本化:制作会社とのやり取りの窓口を一人に集約します。
- 修正指示の統合:社内レビューをまとめてから制作会社に伝えます。
- 承認フローの事前共有:社内の意思決定プロセスを制作会社に共有します。
【コピペOK】見積もり依頼チェックリスト

- 動画の目的と期待する効果
- 想定する動画の長さ(秒数)
- 表現スタイル(実写・CG・モーショングラフィックス)
- アスペクト比(16:9、9:16、1:1など)
- 音声の仕様(BGM、ナレーション、効果音)
- 希望納期(展示会開催日からの逆算)
- 予算の上限
- 修正回数の上限
- 利用範囲(展示会のみ、Web掲載、SNS投稿など)
- 提供可能な素材(ロゴ、写真、既存動画など)
- 社内承認フローと所要期間
- 特別な要望事項
契約・権利・運用の注意点
- 著作権の帰属:制作した動画の著作権が発注者と制作会社のどちらに帰属するかを明確にします。
- 利用範囲の定義:利用できる媒体、期間、地域を契約書で具体的に規定します。
- 修正範囲の明文化:「軽微な修正」の定義を具体的に決めておきます。
- 素材ライセンス:BGMやストックフォトのライセンス範囲を確認します。
- 納品形式:必要なファイル形式と解像度を事前に指定します。
生成AI活用の可否と注意点
生成AIの活用により、一部工程の効率化とコスト削減が期待できますが、慎重な検討が必要です。
活用可能な領域
- 企画段階:構成案のたたき台作成、キャッチコピーの候補生成
- 素材作成:背景画像、アイコン、簡単なイラストの生成
- 翻訳作業:多言語版制作時の初稿翻訳
注意すべき点
- 品質管理:AI生成物は必ず人間による確認・修正が必要です。
- 権利関係:著作権侵害のリスクを避けるため、商用利用時は慎重な検証が求められます。
- ブランド整合性:企業のブランドイメージとの整合性を保つため、最終的な判断は人間が行います。
よくある質問
- 展示会動画の最適な長さはどれくらいですか?
-
アテンション・集客目的であれば、15~30秒が最も効果的です。来場者の注意を引きつつ、メッセージを確実に伝えられる長さです。ブースでの説明やサービス紹介を目的とした動画であれば60秒〜120秒程度でも問題ありません。
- 音声なしでも効果的な動画は作れますか?
-
はい、可能です。大きなテロップ、動きのあるグラフィックス、色彩の効果的な使用により、音声なしでも十分な訴求力を持つ動画を制作できます。
- 既存の会社紹介動画を展示会用に編集できますか?
-
編集は可能ですが、展示会特有の環境(無音、短時間視聴)に最適化するため、大幅な再構成が必要になる場合があります。費用対効果を検討して判断することをお勧めします。
- 複数の展示会で同じ動画を使用できますか?
-
契約で定めた利用範囲内であれば使用可能です。ただし、展示会ごとに来場者層が異なるため、メッセージの調整が必要な場合があります。
まとめ
展示会動画の成功は、適切な予算設定、十分な制作期間の確保、そして展示会特有の環境を考慮した制作ポイントの理解にかかっています。以下のチェックリストで最終確認を行いましょう。
- 動画の目的と期待効果は明確に定義されているか
- 予算は相場に照らして適正な範囲に設定されているか
- 制作期間は品質確保に十分な長さが確保されているか
- ブース環境(無音・ループ再生)に対応した設計になっているか
- 既存アセットの活用によりコスト最適化が図られているか
- 契約条件(修正回数・権利範囲)は明確に定められているか
- 社内の承認フローは制作会社と共有されているか
- 追加費用が発生する条件は事前に確認されているか
情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
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