動画制作の半分はコミュニケーションでできている。

「動画を作りたい」と考えたとき、皆さんは制作会社のどこを見るでしょうか? 多くの方は、過去の制作実績(ポートフォリオ)を見て、「映像のクオリティ」や「センス」で判断されると思います。

もちろん、アウトプットの質は重要です。しかし、実際にプロジェクトが始まると、発注担当者様を最も悩ませるのは、映像の質やカット割りではありません。 それは「制作会社とのやり取り(コミュニケーション)」であるケースが非常に多いのです。

動画制作は、スーパーで完成品を買うのとは違い、数ヶ月かけて作り上げる「共同プロジェクト」です。 今回は、私たち株式会社caseが日々の制作現場で痛感している、「アウトプットと同じくらい重要な制作プロセス」についてお話しします。

目次

動画制作特有の「魔の2ヶ月間」とは

なぜ、動画制作の依頼はストレスが溜まりやすいのでしょうか。 その最大の要因は、動画というメディアが持つ「仕上がりのイメージがつきにくい」という特性にあります。

Webサイトやチラシであれば、ラフデザインの段階で完成形がある程度想像できます。しかし動画の場合、特にアニメーションや複雑な編集が入るものは、絵コンテ(静止画)を見ても、動きや音のタイミングまで完全にイメージすることはプロでも困難です。

さらに、キックオフから初稿(最初の映像チェック)が出るまでには、撮影・素材作成・編集と多くの工程が必要で、長いと2〜3ヶ月ほどの期間を要します。

この「何も成果物が見えない期間」こそが、発注担当者様にとって最も不安な時間です。 「本当に意図は伝わっているだろうか?」「社内への報告期限に間に合うだろうか?」というプレッシャーが、常にのしかかることになるからです。

ストレスの正体は「レスポンスの不在」

この「もっとも不安な期間」に、制作会社から以下のような対応をされたらどうでしょうか。

  • 質問メールを送ったのに、丸一日返信がない。
  • 「確認します」と言ったきり、いつ回答が来るかわからない。
  • 進捗報告がなく、今何をしているかわからない。

ただでさえ完成形が見えず不安な中で、コミュニケーションまで滞ると、その不安は瞬く間に「不信感」へと変わります。

「レスが遅い」「意図が伝わらない」といったストレスが積み重なると、たとえ最終的に納品された動画のクオリティが高くても、担当者様の中には「もう二度とこの会社には頼みたくない」という疲労感だけが残ってしまいます。

実際に、ご相談頂くお客様の中には「動画のクオリティに問題はなかったけど、コミュニケーションに不安が残るので別の会社を探している」というお声を頂くこともあります。

相手にストレスを与えない「コミュニケーション技術」

私たちcaseでは、クリエイターである前に「ビジネスパートナー」であることを大切にしています。 不安な期間を少しでも安心して過ごしていただくために、私たちが徹底している「ストレスを与えないコミュニケーション方法」をいくつかご紹介します。

1. 「即答できない時」こそ、期限を伝える

制作進行において最もやってはいけないことは「沈黙」です。 確認に時間がかかる質問を頂いた際、答えが出るまで返信を止めてしまうクリエイターは少なくありません。しかし、待っている側からすれば、それは「無視されている」のと同じです。

重要なのは、答えそのものではなく「いつ答えるか」を提示することです。

「お問い合わせありがとうございます。関係者にも確認して、明日の15時までに改めて回答いたします。」

このように「いつ連絡するか」を即座に伝えるだけで、相手の「待つストレス」は劇的に軽減されます。特に最近ではメールからチャットツールなどよりスムーズにコミュニケーションが可能なツールを使うようになっています。

例えば、メールであれば24時間以内に返信できればOKでも、チャットツールだと「レスが遅い」と感じてしまうのではないでしょうか。

2. 「ボールの持ち主」を明確にする

プロジェクトが停滞する原因の多くは、「今、誰が何をするターンなのか」が曖昧な時に起こります。

「現在は弊社で編集作業中です。来週の水曜日に初稿をお出しします」 「次は貴社にて構成案のご確認をお願いします」

このように、常に「ボールの持ち主」と「次のアクション」を明確にし続けることで、担当者様は安心して他の業務に集中することができます。

3. 専門用語を使わず「翻訳」する

「フィックス」「コンポジット」「グレーディング」…。 映像業界の当たり前は、お客様の当たり前ではありません。言葉の壁は、そのまま心の壁になります。

専門用語を並べ立てるのではなく、誰にでもわかる言葉で噛み砕いて説明する。お客様の業界用語を理解し、共通言語で話す。そうした「翻訳機」としての役割も、プロデューサーの重要なスキルです。

コミュニケーション品質も「納品物」の一部

私たちは、動画制作会社の提供価値は「MP4などの動画データ」だけではないと考えています。

初稿が出るまでの安心感、意図を汲み取ってくれる快適さ、社内調整のしやすさ。 こうした「プロセス(体験)の品質」そのものが、お客様が支払う対価の大きな割合を占めているはずです。

良い動画を作るためには、発注者様が余計なストレスを感じず、クリエイティブな判断に集中できる環境が必要です。そのためには、制作側のコミュニケーションスキルが不可欠なのです。

良い動画は、良い対話から生まれる

不安やストレスを抱えたまま進行したプロジェクトで、心から満足できる動画が生まれることは稀です。

だからこそ、株式会社caseは「一気通貫」の制作体制にこだわります。 営業・制作進行・納品までを経験豊富な代表が担当することで、分業制による「伝言ゲーム(タイムラグや認識のズレ)」を物理的にゼロにします。

これから動画制作を依頼される方は、ぜひ制作会社の実績映像だけでなく、「レスポンスの速さ」や「連絡の丁寧さ」にも注目してみてください。 それこそが、プロジェクトを成功させるための重要なポイントです。

情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
是非、下のボタンからお気軽にお問い合わせください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

【株式会社case 代表取締役 / 動画制作プロデューサー】
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社にアカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。現在は本メディアの運営を通じた企業の動画制作支援や、動画制作会社の営業支援などを行う。

目次