新卒採用向けインタビュー動画 完全ガイド|費用・期間・事例・制作のコツまで


新卒採用では、学生が企業を知るきっかけは意外と少ないもの。だからこそ効くのが、社員の等身大の声をそのまま届けられるインタビュー動画です。声色や間、視線、表情といった“非言語情報”まで伝わるので、仕事内容やチームの空気感を強い説得力とともに届けられます。説明会・採用サイト・SNSへ横展開しやすく、短尺の切り出し配信にも向く――そんな高い汎用性も大きな魅力です。

さらに制作プロセスは比較的シンプル。限られた予算と期間でも始めやすいことから、新卒採用では定番コンテンツとして活用が進んでいます。

本記事では、新卒採用向けのインタビュー動画について、実務の現場目線で次のポイントを網羅的に解説します。

  • どれくらいの費用が必要か
  • 制作期間はどの程度か
  • 効果を出すための構成と見せ方
  • 失敗しないための制作のコツ

“いまから作る”担当者の方がすぐ使える具体策まで落とし込みました。ぜひ、社内検討や発注時のチェックリストとしてご活用ください。

目次

新卒採用にインタビュー動画が適している理由・メリット

新卒採用でインタビュー動画を導入する利点は、大きく次の3点に集約できます。

  • ロールモデルの魅力を“いつでも”届けられる
  • 現場の声を温度感ごと伝えられる
  • 仕事内容のリアルを映像で具体化できる

1. ロールモデルの魅力を“いつでも”届けられる

説明会のたびに多忙なキーパーソンに登壇してもらうのは現実的ではありません。インタビュー動画なら、学生に最も見せたい人のメッセージを高品質で収録し、説明会・採用サイト・SNSなどで継続配信できます。担当者ごとに話しぶりの上手い/苦手の差が出て内容にムラが生じる、という課題も、動画化によってメッセージを一定の品質で統一できます。

2. 現場の声を温度感ごと伝えられる

業務内容やキャリアの話は採用担当者でも説明できますが、学生が知りたいのは「現場の当事者の本音」。動画なら声色、間、表情、視線といった非言語情報まで届くため、テキストや静止画よりも印象に残りやすく、信頼感の醸成に直結します。

3. 仕事内容のリアルを映像で具体化できる

インタビューの合間に差し込む業務シーン(インサートカット)を組み合わせれば、語られた内容を映像で補強できます。たとえば「どんな環境で、誰と、どのツールを使っているのか」といった情報を可視化でき、学生の仕事理解の解像度が一気に上がります。制作時はインタビューだけでなく、関連する作業シーンの撮影も計画に組み込むのがおすすめです。

インタビュー動画の制作に必要な費用は30−100万円

新卒採用向けのインタビュー動画は、おおよそ30万〜100万円前後に収まるケースが一般的です。レンジが広いのは、撮影体制や日数、企画の深さ、ロケハンやナレーションの有無など、制作条件によってコスト構造が大きく変わるためです。つまり、当たり前といえば当たり前ですが安いには安い理由があり、高いには高い理由がある――というわけですね。


30万円クラスの想定仕様(例)

最小構成で進める場合は、下記のような条件に落ち着くことが多いです。

  • 本数:1本
  • :〜5分程度
  • BGM:あり
  • 撮影:半日程度(準備・撤収含め約3〜4時間)
  • 体制:ディレクター兼カメラ兼音声のワンオペ(最大でも2名程度)
  • ロケハン:基本なし
  • インタビュアー:発注側が担当
  • 撮影環境:場所は1〜2箇所、被写体は1〜2名、カメラは1〜2台
  • 画づくり:インサート(業務シーンの差し込み)は最小限または未撮影の想定

上記のとおり、短時間・少人数・シンプル構成が前提になります。そのため、演出面の自由度は限られますが、テーマを絞り、インタビューの準備を丁寧に行えば見応えのある1本に仕上げることは十分可能です。

※ここでの仕様はあくまで一例であり、特定の参考動画の制作条件や費用を示すものではありません。
※下記の動画が30万円で制作されたということではなく、上記要件に当てはまるという意図で例示しています。

100万円クラスで組める制作条件(例)

この規模になると、撮影体制と表現の自由度が一気に上がります。

  • :おおむね〜5分
  • 音楽:BGM あり
  • 撮影:準備・撤収を含めて 1〜2日稼働
  • 体制:ディレクター1/カメラ1/照明1/音声1/アシスタント1〜2 → 計4〜6名
  • ロケハン:事前下見を実施
  • インタビュアー:発注側 or 制作側いずれかが担当

この条件でできることの幅

  • 複数拠点の撮影:3〜5ロケーションまで対応しやすい
  • 被写体の拡張:登場人物を増やす、もしくは構成に合わせて柔軟に増減
  • マルチカメラ:2〜3台での収録により、編集での表情・カット割りが豊かに
  • 複数本の展開:1回の撮影素材から、個別インタビューの短尺版を複数本切り出し可能
  • 演出の強化:照明設計で印象づける/暗所・夜間など難条件の画作りにも対応
  • Bロールの充実:業務シーンや環境カットを十分に押さえ、語りとのシンクロを高められる

予算100万円前後は、「撮るだけ」から一歩進んで“見せ方をデザインする”段階に入るイメージ。安全マージンが生まれるため、当日のイレギュラーにも対応しやすく、最終クオリティの安定感が増します。※あくまで一例で、狙い・体制・スケジュールにより調整されます。

インタビュー動画の制作費については、こちらの記事でより詳しくまとめているので、ぜひご参考ください。

新卒採用向けインタビュー動画の制作期間 / 想定スケジュール

新卒採用向けインタビュー動画の制作期間は、以下が目安です。

最短:3週間程度
標準:1.5〜2ヶ月程度

代表的な2パターンの想定スケジュールを示します。

3週間程度で制作する場合

・要件確定が前提。「誰に何を聞くか」などの質問設計は発注側で事前準備。

ロケハンは省略または最小限。撮影場所の事前情報を細かく共有。

・撮影日は納品から逆算して固定。調整余地は限定的。

・修正は1回を目安に、レビュー期限と合格基準を先に合意。

基本的には、制作側の工程に企業側の準備をフィットさせる運びになります。

1.5〜2ヶ月程度で制作する場合

構成検討の時間を確保し、希望を踏まえて制作側に骨子設計を依頼。

ロケハン日を別途設定して、画づくりと動線を事前に最適化。

撮影候補日を複数用意し、出演者/現場都合も踏まえて調整。

・修正は2〜3回を想定。窓口と締切を一本化。

企業側の希望や社内承認フローに合わせてスケジュール設計できます。

制作スケジュールの詳細はこちらでも解説しています。

制作期間に影響する主な変数

インタビュー動画のスケジュールは、次の4要素で大きく伸び縮みします。

  • 収録日数
  • スタッフ編成(人数・役割)
  • ロケーション数(移動の有無)
  • 出演者(インタビュイー)数

それぞれの“詰まりやすいポイント”を押さえておきましょう。

収録日数

日数が増えれば当然全体期間は延びます。実務上は出演者・発注側・制作側の三者で同時に空く日を見つけることがハードルになりがち。屋外撮影が絡む場合は天候予備日の設定も検討しておくと安心です。

スタッフ編成

人数が多いほど日程調整は複雑になります。特にメインカメラ・照明・音声などのコア職能は全日程で同一メンバーを押さえられるのが理想(アシスタントは代替可のケースも)。ここが確保できるかが進行のカギです。

ロケーション数

拠点が増えるほど、移動・許諾・段取りが増加。屋外は日照時間の制約も大きく、タイムテーブルに影響します。移動距離が長いときは日を分ける判断が必要になることもあります。

出演者(インタビュイー)数

関係者が増えるほど全体工程は延びやすくなります。同一場所・短時間なら影響は軽めですが、人数に比例してインサートカットの撮影も増加。

※インサートカット=語りに重ねる仕事風景・手元・現場のカット。出演者が多いほど必要量が膨らむため、計画時から織り込んでおきましょう。

まずは概算期間の目安出し→ボトルネックになりそうな要素(上記4つ)を特定→そこに時間のバッファを置く、の順で設計すると破綻しにくいです。


標準フロー(制作プロセス)

作品トーンや要件で細部は変わりますが、基本の進め方は次の通りです。

企画・設計

インタビュー動画はシンプルゆえに質問設計の精度が成果を左右します。

  • 何を語ってもらうか(テーマ/ストーリーライン)
  • どう引き出すか(質問→深掘りの導線)
  • 誰に見せるか(想定視聴者)

を発注側・制作側で合意してから前進しましょう。

ロケハン(事前下見)


採光・騒音・広さ・電源・動線など、現地でしか分からない条件を確認。自然光依存なら日の入り・方角が香盤に直結します。インサートカットは「どこで/何を/誰が」を現場で具体化し、撮りたい絵と撮れる絵のギャップを事前に解消します。

シナリオ/香盤の確定


ロケハン結果を反映し、詳細シナリオ・質問リスト・絵コンテ・香盤(当日行程)を固定。あわせて承認者・レビュー期限・差し戻し回数も取り決めておくと、後工程の遅延を防げます。

撮影(インタビュー収録+インサートカット)

インタビューは空気づくりが命。ウォームアップの雑談や答えやすい順で質問を投げるなど、話しやすい雰囲気を現場全員で作ります。収録中はモニターで目線・ノイズ・被写体のクセを都度チェックし、必要なら言い換え・言い直しも躊躇なく。

編集/レビュー(必要に応じてMA・カラー)

質問設計と収録がハマっていれば編集はスムーズ。とはいえカラー調整・整音は時間を要する場合があるため、バッファを見ておくのが安全です。レビューは回数・締切・窓口を固定し、タイムコード付きでフィードバックすると効率的。

インタビュー制作の具体的なコツは、別記事で詳しくまとめています。併せてご覧ください。

新卒採用向けインタビュー動画で“つまずきやすい”点

多数の案件と視聴分析から、現場で起こりがちなミスを要約すると次の3つです。

  • 暗記トークに頼ってしまう
  • カンペ(読み原稿)依存になる
  • ロケハン不足で環境要因を見落とす

暗記トークに頼ってしまう

セリフを丸覚えして棒読みになると、“その人の言葉”が持つ説得力が消えます。視聴者には「言わされている」印象が残り、内容の信頼性まで損なわれかねません。

実務では、原稿を渡さない/作らせない運用が安全。話すのが得意で、即興でも自然に言い換えられる人以外は、要点メモ(箇条書き)+質問で誘導が基本です。

カンペ(読み原稿)依存になる

視線が紙やモニターに引っ張られ、目線の不自然さやテンポの違和感が発生します。結果として“借り物の言葉”に聞こえがち。

「意図どおりの文言」を厳密に伝えたいなら、動画よりテキスト/記事の方が適しています。動画では要点提示+会話で引き出すほうが、真実味ある語りになりやすいです。

ロケハン不足

「自社オフィスだから大丈夫」と考えて下見を省くと、当日に暗さ・残響・外音・電源・搬入動線・スペース不足などの問題が露呈しがち。

特に新卒向けは静かな環境と十分な明るさが印象に直結します。採光・騒音源・電源容量・機材動線まで現地でチェックしましょう。


仕上がりを安定させる実践ポイント

話し手の選定:話せる人を主役に

採用上の“顔ぶれ”だけでなく、カメラ前で自然に話せるかを重視。活躍度や見た目と同等に、語りの安定感・分かりやすさを評価軸に入れると外しにくくなります。

事前インタビューで“肩慣らし”

本番の前に軽いヒアリングを行い、話せるテーマ/言いにくい領域/具体例を把握。これだけで当日の緊張が大幅に下がり、自然な言い換え・補足がしやすくなります。

インタビューシートは“内部用の設計図”

単なる質問リストではなく、主質問→深掘りサブ質問→想定キーワードまで記載した“台本未満”の設計資料を制作側だけで共有

インタビュイーには渡さず、当日の誘導と抜け漏れチェックに活用します。収録中は「言ってほしい要点が撮れたか」をタイムラインで管理し、必要に応じて言い直し/別表現を追加収録しましょう。


まとめ:

暗記禁止・カンペ最小・入念な下見の3点を徹底し、話せる人×事前慣らし×内部用シートで支える。これが新卒向けインタビュー動画を“自然で信頼できる語り”に仕上げる近道です。

本当に参考になる採用インタビュー動画5選

各事例のポイントなどは、下記の記事で解説しています。ぜひご参考ください。

最後に

新卒採用プロモーションの成果は、“誰が・何を・どう語るか”で大きく変わります。

自社に最適な構成や費用感、進め方を短時間で整理してお伝えします。資料が揃っていなくても大丈夫。「まずは概算だけ」「構成の壁打ちだけ」でも歓迎です。お気軽にご相談ください。

ご相談でお渡しできるもの

・概算見積りと想定スケジュールのたたき台

・想定視聴者に合わせた構成案(質問設計の方向性)

・参考事例

情報整理や予算の検討などの事前準備がご不安な方は筆者がお手伝いいたします。
是非、下のボタンからお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

【株式会社case 代表取締役 / 動画制作プロデューサー】
新卒で入社した動画制作会社で広告・マーケティング・採用・人材研修など約400本の動画制作に携わる。その後、TVCMなどの制作を行う、大手制作会社にアカウントエグゼクティブとしてジョイン。数千万円規模のプロモーション案件に携わり、動画にとどまらないクリエイティブ制作やプロジェクトマネジメントを経験。現在は本メディアの運営を通じた企業の動画制作支援や、動画制作会社の営業支援などを行う。

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